BBC News

2016年3月22日

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キューバを公式訪問中のオバマ米大統領とラウル・カストロ国家評議会議長は21日、首脳会談を開き、それぞれの国の人権問題をめぐり対立した。カストロ議長は米国がキューバのグアンタナモ湾に海軍基地と収容所を維持していることを問題視し、オバマ大統領はキューバ政府が政治犯を収監していることを批判した。

歴史的な共同記者会見で、カストロ議長は政治犯などいないと否定。名簿を提示されれば「今晩にも釈放する」と述べた。

米政府はこれまでもキューバに政治犯名簿を渡しているが、キューバ政府は該当する人々を政治犯とはみていないと説明を繰り返してきたという。

カストロ議長は批判に対し、「我々は人権を大事にする。市民的、政治的、経済的、社会的、文化的権利はいずれも不可分で、互いに依存し合い、普遍的なものだと考えている」と答えた。さらに「政府が医療や教育、社会保障、食糧供給と開発を守らないなど、考えられない」とも述べた。

カストロ議長が国内の報道陣から厳しく追及されることはめったにないため、政治犯に関する質問は「礼儀正しくない」と反発。最後に「もうこれで十分でしょう」と会見を打ち切った。

オバマ大統領は一方で、キューバ革命以来継続してきた米政府による経済制裁について、完全解除の方針を言明した。

「キューバの運命を決めるのはアメリカでなければ他のどの国でもない。キューバの未来を決めるのはキューバ市民だ。それ以外の誰でもない」とオバマ氏は述べた。

記者会見後に米ABCニュースの取材に応じたオバマ氏は、カストロ議長に政治犯名簿を渡すかどうかは言明せず、「これまで名簿を渡してきたが、我々の関与に(キューバの)反応はまばらだった」と言及。「だからこそ、禁輸と沈黙と断絶よりも、自分たちが重視する価値観を推進するためこうして対話する方が効果的だと確信している」と述べた。

オバマ氏は、禁輸制裁の解除がいつになるか時期については言明を避けたが、「50年続けたが、米国の利益にもキューバ市民の利益にもならなかったからだ」と解除の必要性は強調した。

その上で大統領は、政府としては制裁解除のためにできる限りのことをしたが、解除実現のためには連邦議会の採択が必要だと指摘。議会は「大統領選の年にはあまり生産的でない」と、議会多数派の野党・共和党を暗に批判した。

大統領はさらに、制裁解除には人権問題へのキューバの対応も影響すると指摘した。

オバマ氏は、米国が人権をめぐり「根深い意見対立」を抱えているのはキューバとだけでなく、中国やベトナムも同様だと指摘した上で、「どの国に対しても変化の強制はできない。究極的にはその国の内側から変わらなくてはならい」、「私は人を信じる」と述べた。

共同記者会見に出席した記者たちは、「緊迫していた」ものの「とてつもない」会見だったと語った。

キューバのフリーランス記者、カルラ・オリバレスさんはBBCのタラ・マケルビー記者に、カストロ議長が「ふだんより口数が多かった」と話した。また、キューバには政治犯がいないという主張は「入り組んでいる」と述べた。

記者会見の前には、グーグル社がキューバに現在より高速度の無料インターネット通信を提供するため、オンライン技術センターをキューバに開設すると発表した。

(英語記事 Obama and Castro spar over human rights)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/35868492

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