2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年3月31日

 2月24日付の米ニューヨーク・タイムズ紙は、社説で、トルコはシリアのクルド人武装組織(YPG)をクルド労働者党(PKK)と同一視するのをやめ、YPG攻撃を控えるべきであると論じています。同社説の論旨は、次の通りです。

トルコのクルド人居住区(iStock)

クルド問題が“露土戦争”の引き金になる恐れ

 トルコ政府の対クルド敵対政策は、米・トルコ関係を緊張させ、シリアの戦場を複雑にしている。トルコのクルドとの紛争は、ロシアとトルコの直接対決になる危険も持っている。

 トルコは、クルドの独立国家への願望を長い間恐れてきた。クルドはシリア、イラク、イラン、トルコに3500万人いて、内1500万人がトルコにいる。

 エルドアン大統領は昨秋、選挙の前の政治的に計算された動きとして、分離主義者のクルド労働者党(PKK)との戦闘を再開し、最近、シリア領内のクルド武装勢力(YPG)を攻撃し始めた。エルドアンはこの二つのクルド人グループを区別していない。米国もトルコもPKKをテロ団体とみなしている。しかし米国は、YPGをテロリストとは考えず、「イスラム国(IS)」に対抗している有能なグループと考え、YPGに情報その他の支援をしている。

 先週、トルコは28人が死亡したアンカラ爆弾事件をシリアのクルドの犯行とした。シリアのクルド勢力は責任を否定している。米国はPKK分派が犯人ではないか、としている。エルドアンは米国に、シリアのクルドか自分か、いずれかを選べとさえ言っている。

 米国はエルドアンに、シリアのクルドへの攻撃をやめるように求めている。クルドはシリア・トルコ国境565マイルを支配しており、残された部分も支配するかもしれない。米ロが呼びかけた停戦にトルコも同意したと言う。


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