WEDGE REPORT

2016年3月25日

»著者プロフィール
閉じる

ジョン太郎 (じょん・たろう)

現役金融マン

大手銀行入社後、日系・外資系の様々な金融機関で、商品開発や戦略企画などの要職に就く。投資信託や不動産ファンド、ヘッジファンド、機関投資家の自己資金運用など様々な分野で投資・運用ビジネスに携わり、株式・債券・為替・REIT・不動産・コモディティ・デリバティブ等、多種多様な金融商品に精通。2005年より、ブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」を開設。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわる様々なトピックをわかりやすく親しみやすい言葉で解説し、人気を博している。近著に「外資系金融マンがわが子に教えたい「お金」と「投資」の本当の話」。そのほか、マネックス証券の「マネックスラウンジ」にてコラム「お金の相談室」連載中。著書に「ど素人が読める決算書の本 第2版」「ど素人がはじめる投資信託の本」(いずれも翔泳社)がある。http://jovivi.seesaa.net/

 

総務省の消費者物価指数(総務省CPI)の問題

 害悪であるデフレから脱却し、年率2%の物価上昇を目指すためにまず第一に必要なものは何だろうか。それは物価上昇率の正確な把握である。これが非常に難しいのだ。インフレ率というのは「世の中全体の物価の上昇率」であり、人々が支出する様々なものの値段の上下動を把握したうえで、それぞれをどのくらいずつの比率で組み合わせたものが「世の中全体の物価」とするのかという点に大きな難題がある。

 パンの価格の変動と、電車賃の変動と、電気代の変動は、同じように扱っていいのか、比率を変えるとしたらどのくらいずつにするのが適切なのか、という問題である。総務省CPIではこうした品目別の割合を5年に一度見直している。裏を返せば、一度決められた配分は、家計の出費構成が変わっても見直されない。値段が上がってしまったことであまり買われなくなったものも、決められた比率で指数に組み込まれ続ける。

 総務省CPI算出のための価格調査も人力で行われており、調査人員は限られているため、調査範囲は限定される。特売などの効果も考慮されない。結果発表のタイミングも遅く、1カ月遅れで発表され、1月の消費者物価指数は翌月2月末になってから発表される。実際の価格調査から公表までのタイムラグは1カ月半もある。

新たな物価指数の開発

 こうした総務省CPIの問題を解決すべく、新たな物価指数算出の試みもなされている。例えば日経CPINowは、スーパーの日々のPOSデータを使って算出されていた日経・東大日次物価指数を進化させる形で開発されて公表されている。800店舗以上のスーパーの日用品や食料品30万点以上のPOSデータを活用し、実際に消費者が購入した価格と数量を使って計算されている。購入日の翌々日には指数値が発表され、速報性は総務省CPIとは比較にならないほど高い。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る