BBC News

2016年3月29日

米司法省は28日、昨年12月に米カリフォルニア州サンバーナディーノ郡で起きた乱射事件を捜査する連邦捜査局(FBI)が、リズワン・ファルーク容疑者のiPhoneのロック解除に成功したと明らかにした。これによって、アップル社に対する提訴は取り下げるという。FBIはアップル社に、ロック解除を可能にするソフトウェア作成を要請していたが、同社は裁判所命令を拒否していた。FBIは独自の解除方法によって成功したという。

カリフォルニア連邦地検のアイリーン・デッカー検察官は28日、捜査当局は「第三者」の協力を得たと文書で発表。協力者の名前は明らかにしていない。捜査官たちは「サンバーナディーノ銃撃事件の被害者たちのために最善を尽くす」厳粛な義務があり、「国と国民の安全を守るために不可欠なデジタル情報を捜査機関が確実に得られるようにすることは、政府にとって依然として優先課題だ。関係各所の協力を得て、もしくは協力が得られない場合は司法システムを経て、必要な情報を得られるようにしなくてはならない」とデッカー氏は説明した。

ファルーク容疑者と妻タシュフィーン・マリク容疑者は昨年12月、サンバーナディーノ郡の福祉施設を銃撃し、14人を殺害。警察との銃撃戦で死亡した。米当局によると、夫妻は事件当日にソーシャルメディア上で、過激派勢力のいわゆる「イスラム国」(IS)に忠誠を誓う書き込みをしていたという。

連邦検察当局は先週、アップル社の協力なしにiPhoneを解除する方法を「第三者」が提供してくれたと明らかにしていた。これに伴い司法省の要請を受け、当時予定されていたアップル社との裁判の審理が延期された。

アップル社は当時、自分たちもロックを解除する方法を知らないため、もしiPhoneのセキュリティーに脆弱性が発見されたなら情報を共有してもらいたいと政府に要請していた。

イスラエル紙は先週、サイバーセキュリティーのイスラエル企業セレブライトのデジタル鑑識専門家が、捜査に関与していると伝えた。同社はBBCに対して、FBIと仕事をしていることは認めたが、内容については明らかにしていない。

一方で同社サイトには、自社ツールのひとつがiPhone 5Cをふくむ携帯端末から情報を抽出して解析することができると書かれている。FBIが調べているファルーク容疑者の容疑者はiPhone 5Cだ。

ニューヨークの連邦地裁がアップル社に対して、FBIの協力要請に応じるよう命じたことは、プライバシーに関する激しい議論を引き起こした。アップル社は、利用者のデータに政府がアクセスできるようにするのは「危険な前例となる」と抵抗してきた。

アップルの対応には、グーグル、マイクロソフト、フェイスブックなど他の情報通信大手も賛同している。

国連のザイド・フセイン人権高等弁務官も今月初めに、裁判所の協力命令を強制すれば、「パンドラの箱」を開けることになると警告した。

ジェイムズ・コーミーFBI長官は、長官として取り組む「一番難しい問題」だと述べた上で、刑事捜査は人命を救い、子供たちを救い、携帯電話の情報入手を可能にする捜査令状のおかげでテロ攻撃が阻止できたのだと必要性を強調していた。

<分析>デイブ・リー、北米テクノロジー担当

米情報産業がひとつになってFBIと戦っていた裁判が、ひとまず終わった。

これに伴い議論は、いっそう不確実な段階に入る。世界中のアップル端末を弱体化させるセキュリティーの脆弱性について、米政府は承知することになったからだ。

自社の評判を守るため、アップルは急ぎその欠陥を探し出して修正するだろう。それが可能だとして、この対立は振出しに戻る。

(英語記事 FBI-Apple case: Investigators break into dead San Bernardino gunman's iPhone)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/35914490

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