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2016年4月3日

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小林美希 (こばやし・みき)

労働経済ジャーナリスト

1975年生まれ。株式新聞社、毎日新聞エコノミスト編集部を経て2007年2月からフリーのジャーナリスト。「ルポ看護の質〜患者の命は守られるのか」「夫に死んでほしい妻たち」(朝日新書)、(岩波新書)「ルポ保育崩壊」(岩波新書)と「ルポ母子家庭」(ちくま新書)「ルポ“正社員”の若者たち」(岩波書店)、「看護崩壊」(アスキー新書)、「ルポ職場流産」(岩波書店)、「ルポ産ませない社会」(河出書房新社)など

 3月28日、厚生労働省が「待機児童解消に向けて緊急的に対応する施策について」を発表した。2016年4月に保育園に入園するための審査が通らなかった親の匿名ブログ「保育園落ちた日本死ね!!!」が話題を呼び、共感する保護者や保育現場などの声が広がったことで、政府は対応に迫られた。この緊急対策は果たして効果の出るものなのだろうか。国が示した対策のポイントを解説してみたい。

定員増を狙った規制緩和

iStock

 まず、緊急対策は「規制の弾力化・人材確保」をうたい、規制緩和による定員増を目玉としている。もともと児童福祉法のなかで保育士の人員配置や面積基準について、国は最低基準を定めている。それを上回る基準を設定している市区町村に対して、一人でも多くの児童の受け入れを要請している。人員配置でいえば、0歳の子ども3人に対して保育士1人(以下「3:1」)、1~2歳は「6:1」、3歳は「20:1」、4~5歳は「30:1」という最低基準がある。

 ただ、この最低基準が戦後に決められたまま、ずっと変わっていないため、それでは安全に子どもを預かり、きちんと発達を促す保育ができないと判断する自治体は、例えば、国基準では1~2歳が「6:1」でも、自治体独自に「5:1」にするなど基準を引き上げ良い保育を目指す努力をしている。それを今回、国は「最低基準ギリギリでやって一人でも子どもを詰め込め」としたも同然の対策を打ち出した。

 そして、次に目玉となっているのは、0~2歳を6~19人の幅で預かる「小規模保育園」の規制緩和だ。2015年度から始まった「子ども・子育て支援新制度」では、待機児童の多い0~1歳の預け先として、認可保育園より保育士配置や面積の基準が低い「小規模保育園」をスタートさせた。

 これには3つのタイプがある。認可保育園の分園という位置づけのA型は、保育士の配置基準の全てを保育士で満たさなければならないミニ保育園と呼ばれるものとなる。中間型のB型は配置基準のうち保育士は2分の1以上で良い。家庭的保育とされるC型は全員が一定の研修を受けた「家庭的保育者」(無資格者)で良い。

 それらの小規模保育園の定員を拡大して、22人まで受け入れて良いとされた。そして、小規模保育園に入ると本来は3歳で他の認可保育園などに転園しなければならないが、実際には空きがなく預け先が見つからない「3歳問題」が発生しているため、国は小規模保育園でそのまま3歳以降も受け入れて良いとした。

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