世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年4月14日

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 ワシントン・ポスト紙コラムニストのアップルバウムが、3月4日付同紙にて、あと2か3の選挙を経て、西側世界は終焉を迎えるかも知れない、と危機感を表明しています。論旨は次の通りです。

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 これ程までに劇的な時は今までなかった。NATOの終わり、EUの終わり、そして多分自由主義的な世界秩序の終わりまで、あと2あるいは3の困った選挙結果が出そろうまで、というところに我々はある。

“共通の価値”踏みにじるトランプ

 選挙は奇妙で選挙民は気まぐれである。来年1月には、オバマ、ブッシュ、クリントン、レーガンなど歴代大統領が「我々の共通の価値」と呼んだものに全く関心のない人物がホワイトハウスにいるかも知れない。

 トランプは拷問、大量の国外追放、宗教的差別を唱導する。ウクライナがNATOに加盟を認められるか否かは「どうでも良い」と言う。彼はNATOに関心がない。欧州について、「彼等の紛争はアメリカの人命の犠牲に値しない。欧州から引き揚げることは年間何百万ドルの節約になる」と書く。一方、ロシアについては「彼等とは取り引きができる」と言い、「俺はプーチンとは素晴らしい関係を持てるだろう」と言う。

 同盟に関心がないばかりか、トランプにはそれを維持する能力がないであろう。軍事的、あるいは経済的な連帯には、「取り引きをする」うさん臭い不動産王の技量ではなく、退屈な交渉、不満足な妥協、時には高次の目的のため自国の好みを犠牲にすることが必要となる。ほとんどの西側諸国において、外交政策の討論が消滅し、政治的娯楽のためのTV番組にとって代わられた時代にあって、およそ無関心な大衆にこれらを説明し正当化させることは一層難しくなっている。

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