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2016年4月11日

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ジョン・ケリー米国務長官は11日、広島市の平和記念公園の原爆死没者慰霊碑に献花した。広島が世界初の原爆攻撃を受けた都市になって以来、最も高位の米政府関係者による訪問となる。ケリー長官は、主要7カ国(G7)外相会合のために広島を訪れている。

米メディア報道によると、5月に三重県で開かれるG7首脳会議に出席するオバマ大統領も、広島および原爆死没者慰霊碑の訪問を検討しているという。実現すれば、現職大統領として初の広島訪問になる。ホワイトハウス関係者は米メディアに、今回の国務長官訪問を参考に、大統領が5月に訪問するかどうか判断すると話しているという。

米・英・加・仏・独・伊・日・欧州連合(EU)の外相たちは、公園内の広島平和記念資料館(原爆資料館)も訪れた。

ケリー長官は今回の訪問を通じて、オバマ大統領が掲げる「核なき世界」のビジョンを強調する方針。オバマ氏が2009年にノーベル平和賞を受賞したのは、「核なき世界」を目指すと表明したことが理由の一つだった。

米政府はその一方で、ケリー氏が原爆投下を謝罪するつもりはないと方針を明確にしている。

ケリー長官は、広島出身で広島第1区選出の衆議院議員でもある岸田文雄外相に対して、「私の広島訪問は、両国関係の力強い結びつきにとって、そして戦争の厳しい時代から両国がいかに前に進んできたかにとって、特別な意味を持つ」と語った。さらに自身の広島訪問は「過去についてではなく、現在や未来についてのものだ」と付け加えた。

日本は原爆攻撃を受けた世界唯一の国として、原爆投下によるすさまじい人的損失を嘆いてきた。原爆は少なくとも広島市民14万人の命を奪った。1945年8月6日当日には7万人が亡くなったとされる。さらに大勢が数カ月後、数年後に至るまで、けがや放射線の影響で死亡した。

しかし米国など世界各国では、広島と長崎への原爆投下は戦争終結につながったのだから正当化されるという意見もある。ブッシュ元大統領(前大統領の父)が、広島原爆投下について謝罪するのは「ひどい歴史修正主義だ」と批判し、自分は決してそんなことはしないと表明したのは有名だ。

広島で毎年開かれる追悼式典に、米国大使が初めて出席したのは戦後65年後のことだった。そして大統領、副大統領に次いで大統領就任序列3位の現職下院議長としてナンシー・ペロシ氏が2008年に慰霊碑を訪れているが、下院議長職は議員たちが選ぶ政党職のため、米国の行政府を代表しての訪問ではなかった。

アジア地域で中国が台頭し、日本など米国の同盟諸国との領土問題で強硬姿勢を強めるなか、米国と日本は関係強化に力を入れている。ケリー国務長官の原爆慰霊碑訪問は、そのさなかで実現したものといえる。

(英語記事 John Kerry makes historic visit to Hiroshima memorial)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/36012286

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