2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2016年4月22日

6年半ぶりのイエローカード

 「今は、スタートで出た時は60分くらいなのかな、と思ってプレーしています。90分出ていた時はしなかったし、求められていなかったプレーもして、セーブをせずにプレーしています。例えば、自陣に戻ってのディフェンスなんかは、今までしてなかったですね」と語る。

 昨シーズン、佐藤選手の持つ記録が一つ止まった。6年半ぶりのイエローカードで連続無警告記録が193試合でストップしたのだ。「90分プレーしていたら、あんなに下がってルーズボールを競らなくてもいい。でも、去年はチームとして求められていたし、やらなきゃいけないって思っていたプレーの一つでした。チームが勝つためのプレーをした結果としてのイエロー。役割として起こり得るかな、と思います」と佐藤選手は言うが、スタンドからは佐藤選手へのイエローカードにどよめきが起きた。

 それくらい佐藤選手にはフェアプレーという印象がついている。「DFや中盤の選手は、ピンチを防ぐためにファウルを犯すことがありますが、FWに出されるイエローって、審判への異議や遅延行為、反スポーツ的行為など、全てが不必要なんですよね。時にはチームのためになることもありますが、FWのイエローカードがチームにプラスになることは、ほぼほぼないと思います。ただ、イエローをもらわないようにプレーしているわけではないですし、勝つためにプレーしています」。6年半ぶりに出されたイエローカードは、佐藤寿人選手にとって、チームでの役割が変わってきたことを象徴する出来事であった。

日本屈指のストライカー佐藤寿人選手は、J1・J2通算200ゴール、12年連続2桁得点など、Jリーグの歴史の中で、唯一彼だけが達成したゴール記録を持つ(提供:サンフレッチェ広島)

前人未踏の12年連続2桁得点

 佐藤選手のもう一つの記録は、ストライカーとしての記録である。これもJリーグでは、前人未到となる佐藤選手だけの記録である。「記録は途切れるものであるし、超されるもの。ただ、2桁得点は自分の続けてきた記録。2桁取って辞めることができたら幸せだなって思いますけど、2桁取ったら辞めないですかね。でも、2桁得点もいずれ途切れる時がくる。でも途切れて終わりじゃない。記録が途切れたその時に、またそこに向かっていけるか。そこが大事だと思います。『もう一回2桁得点を取るんだ』って思えないようなら、その時はスパイクを脱がなきゃいけないのかな、選手を辞めたほうがいいのかな、と思いますね」

 「得点って積み重ねなんですけど、ゴールは取ったら終わりじゃないんです。次のゴール、次のゴールって、努力が続けられるんですよね。努力を続けられるものが自分の中にあるか。2桁得点の連続記録は、他の選手は感じられないもの。自分にしか向き合えないし、自分しか感じることのできないことなので、プレッシャーではなく、幸せなことだと思っています。そして、大事なのはそのゴールが勝利に繋がること。勝利を決めるゴールにこだわって、プレーしていきたいと思っています」とゴールへの熱い思いを語ってくれた。


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