メイドインニッポン漫遊録 「ひととき」より

2016年5月4日

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いであつし (いで・あつし)

コラムニスト

1961年、静岡県生まれ。コピーライター、「ポパイ」編集部を経て、コラムニストに。共著に『“ナウ”のトリセツ いであつし&綿谷画伯の勝手な流行事典 長い?短い?“イマどき”の賞味期限』(世界文化社)など。
 

メイドイン備後の逸品スニーカー

左が一番人気のSPM-110(税込18,360円)。右は牛レザーをビンテージ加工したSPM-115(税込17,280円)

 健康志向もあいまって、いま世の中は老若男女、空前のスニーカーブームである。そんななか、お洒落な若者たちからシニア世代にまで人気があり、パリやミラノで開催される世界的なファッションブランドのショーにも使われる、知る人ぞ知るスニーカーがある。

 そのスニーカーはスピングルムーヴというブランドだ。柔らかなレザーを贅沢に使用したアッパーに、踵からつま先にかけてゴムのソールをぐるりと巻き上げた独特なデザイン。ソールの内側を見ると、ロゴマークの下には誇らしげに「bingo,japan」と刻印されている。ビンゴとはずばり、広島県の備後地方のこと。そう、このスニーカーの逸品はここで作られているのだ。それでは第一回の行き先は、こちらといたしましょうか。

府中の町には戦前からの建物が少なくない。昭和レトロな商店街にある築80年の旧平地呉服店。現在はNPO法人府中ノアンテナの活動拠点になっている 
府中の町には戦前からの建物が少なくない

 山陽新幹線の福山駅からローカル線の福塩線に乗り換えて、車窓からのどかな山景色を眺めながら小一時間ほど乗ると、府中駅に到着する。備後地方と呼ばれたこの地区は、古くは福山の備後絣(びんごかすり)、府中家具や府中味噌など、昔からモノづくりの町として知られている。通りを歩けば、古めかしいアーケードやレトロな建物、昔ながらの狭い路地など、どこか懐かしい昭和の薫りがする風景が、今もそこここに残っている。スピングルムーヴのスニーカーは、そんな町で作られているのだ。

 「わざわざこんな遠くまで来ていただいてありがどうございます」と言いながら、笑顔でワレワレを出迎えてくれたのは、スピングルカンパニーで商品開発から広報までこなす企画部チーフマネージャーの鎌倉節子さんだ。

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