2024年4月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年4月26日

 2002年には、オバマは演説で、サウジとエジプトを米国の「いわゆる」同盟国と言い、「彼らは反対意見の抑圧や汚職と不平等への寛容を止める必要がある」と述べた。ゴールドバーグの記事によれば、オバマは、イスラムが現代世界と折り合いをつけるようになるまでは、イスラムテロに対する包括的な解決策は存在し得ない、とも主張した。サウジ王家は、不確実な新指導者チームの手にあり、経済は油価下落により圧迫され、改革には関心を示していない。

 オバマは両国関係についての舞台裏の会話を表に出した。米国には抜本的改革を促すために何かできるだろうか。批判を表明することは別として、オバマですら、伝統的な線に沿って同盟を維持していくことの重要性を感じている。

 オバマの任期には、米国とサウジがいかにして共に前進できるかについて再考する時間は殆ど残されていない。その仕事は、大部分を後任大統領がやることになろう。

出典:‘A Presidential Rebuke to the Saudis’(New York Times, March 21, 2016)
http://www.nytimes.com/2016/03/21/opinion/a-presidential-rebuke-to-the-saudis.html?partner=rssnyt&emc=rss&_r=0

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単なる“同盟国”に格下げされたサウジ

 アトランティック誌とのインタビューで、オバマがサウジを公に批判したのは、米国の大統領として異例のことです。批判の内容は、サウジは、1)米国を自分たちの偏狭で宗教的な目標のため利用し、「ただ乗り」している反面、反米闘争を煽っている、2)国内の反対者を抑圧し、汚職と不平等に寛容である、3)ワッハーブの厳格なイスラム原理主義を教える外国の神学校に多額の援助を与えているというもので、そのほか社説は指摘していませんが、インタビューでは、サウジは女性を蔑視している、と批判しています。

 そして、サウジをかつてのような米国の重要な同盟国ではなく、「いわゆる同盟国」に格下げしています。インタビューでは、豪州のターンブル首相が、オバマに対し「サウジは米国の友邦ではないのか」と尋ねたのに対し、オバマは「それは複雑である」と答えたことが明らかになっています。


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