定年バックパッカー海外放浪記

2016年5月4日

»著者プロフィール
閉じる

高野凌 (たかの りょう)

定年バックパッカー

1953年生まれの62歳。横浜生まれ、神奈川県出身。大学卒業後は商社、メーカー勤務を経て2013年定年退職。2014年春から海外放浪生活を始める。放浪歴は地中海、韓国、インドシナ半島、インドネシア、サンチアゴ巡礼など。サラリーマン時代は主として海外業務に従事。ニューヨーク、テヘラン、北京にて海外駐在を経験。身長170センチ、57キロ。獅子座。A型。現在2人のご子息は独立し、夫人との2人暮らし。孫1人。

 跳虎峡という長江源流の景勝地でナシ族の宿屋のオーナーと話していた時に彼の話を聞いて私の推測が正しかったことが確認できた。彼は台湾の経営者が書いたビジネス本を読んでおり片言の英語も話す40歳前後の明るい御仁であった。なかなかの知識人という印象を受けた。彼は私が日本人であると答えると少し考えてから「もっともっと日本人の観光客に来てほしいと期待している。私自身日本人と話すのは今日が初めてである。日本は戦後経済発展して素晴らしい先進国になった。私は日本と中国の関係が拡大することを希望する」というような内容を語った。

 それから雑談して打ち解けてくると彼は「もちろん中日間には微妙な問題があり中国の大衆は日本人には良い感情を持っていない。日本軍の残酷な行為を中国民衆は絶対に忘れない。それでも歴史を学んで日本が努力すれば日本と中国は隣国として友人になれる。そうすれば中日関係の未来は素晴らしいものになる」ということをゆっくりと正確な標準中国語で私が理解できるように私に諭すような口調で穏やかに語った。

 彼は一介の宿屋のオーナーで共産党とは無縁の素朴な庶民であるが、習近平指導部が聞いたら大喜びするような模範的歴史認識をごく自然に自分の言葉として語っており、私は草の根の中国民衆にどれだけ深くかつ自然に共産党が作り上げた歴史認識・政治宣伝が浸透しているか肌身で実感した。

景勝地、跳虎峡の激流。渓谷の岩の上にいるのは韓国人の団体旅行の一行

 ⇒第4回に続く

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る