WEDGE REPORT

2009年12月8日

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 「ファストファッションという言葉には、違和感があります」。2008年9月に日本に初上陸したH&M(へネス・アンド・マウリッツ)。売上高で約1兆2500億円(1スウェーデン・クローネ=12円換算)と世界3位のファッションチェーンにあって、最年少で日本法人の社長に就任したクリスティン・エドマン氏は、苦笑しながらこう指摘する。

 08年の銀座を皮切りに旗艦店となる渋谷へ出店。今年11月に新宿、来春には大阪の心斎橋に関東圏以外の初出店を計画する同社だが、エドマン氏は「デモクラティック・ブランド」を標榜し、ファストファッションのイメージに否定的だ。

ファッション性と手ごろな値段が
不況の日本に浸透

 とにもかくにも日本への進出以来、売上高は順調に上がっている。08年12月から始まる09年度は、8月末の第3四半期までで約52億円(2店舗)を売り上げており、9月以降出店の3店舗を含め、計5店舗で約90億~100億円程度を売り上げそうな勢いだ。さらに第3四半期の売上高で見る1店舗あたり約10億円の売上げは、日本の同業他社であるユニクロ、しまむらを倍以上、上回る。

 「正式な公表数値ではありませんが、日本法人の売上高は5店舗で約500億円超の見込み」。H&Mに先駆けること2年前の06年4月、単独資本としては16年ぶりに日本に再進出した、ホームファッション企業のイケア。日本法人社長のラース・ペーテルソン氏は、「日本人の生活スタイルの変化は、われわれにとってチャンス」と意欲を見せる。

 世界で約3兆円を売り上げるイケアは非上場企業で四半期ベースの売上高など詳細は不明だが、単純計算で1店舗あたりの売上高が100億円超の規模は大塚家具、ニトリをはるかに上回る金額だ。

 こうした状況に、ニトリの似鳥昭雄社長は、「イケアが日本に進出して、消費者の選択肢が増えることは良いこと」、ユニクロも「H&Mやその他流通外資の日本進出で、消費者がファッションに目を向け始めた」と日本のライバル企業は、両社の日本進出を評価する。

徹底したローコスト
物流戦略とITの駆使が共通項

 「H&M、イケアともにスウェーデンという小国出身であるがゆえに、海外進出を前提とした綿密な戦略が垣間見られる」。ファッションビジネスコンサルタントで、ディマンドワークス(東京港区)社の齋藤孝浩社長は、両社の特徴をこう指摘する。

 齋藤氏によれば、米、英、仏などの流通外資に共通するのは、自国マーケットが巨大であるため、進出国の綿密なマーケットリサーチを怠るケースが多く、自社のオペレーションを押し付ける傾向が強い。その点、スウェーデン出身の両社は「相手国に合わせた最大公約数的なオペレーション」という特徴だという。

 両社の共通項や特徴的なオペレーションを見てみると、興味深い幾つかの事実が浮かび上がってくる。

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