2024年4月20日(土)

金融万事 塞翁が馬

2016年4月27日

 幸い日本でもフィンテックへの関心が急騰し、VC投資会社、金融機関、IT・情報企業だけではなく、コンサルティング企業、広告代理店、教育機関、そして(街づくりの視点で)不動産会社までをも含めた取組みや、そのネットワーキングが見受けられる。

 今年の2月には、三菱地所、電通、電通国際情報サービスによる協業事業として「FINOLAB」が大手町に開設された。運営は金融革新同友会FINOVATORSがフィンテック・ベンチャーの相談・指導を行いながら、政府や官公庁への陳情も含めて育成サポートにあたるとのこと。

 東京、大阪、名古屋等の証券取引所ビルのオーナー企業として創立された歴史を持つ平和不動産は、国家戦略特区の都市再生プロジェクトとして兜町や茅場町の再活性化に取り組んでいるが、資産運用会社やIR関連だけでなく、フィンテック企業向け取組みも話題となっている。3月末にはカフェやワークスペースを東京証券会館のビルで提供し始めた。

ベンチャー事業運営そのものが “便利” に

 IT系のベンチャー起業にとって聖地であるシリコンバレーは米国・カリフォルニア州のサンフランシスコ湾地域より南側に位置し、サンノゼ市を中心としたサンタ・クラーラ谷(Valley)一帯を指す。ここには最も成熟した形のベンチャー起業業界が存在する。

 この地域の知る人ぞ知る幾つかのカフェには、起業家、投資家、そしてパートナーシップを求める企業が集まり、活発な意見交換をしている。数千万円規模から数億円規模迄の起業支援であれば、こういった場所での即決も珍しくない。

 個人及び事業会社による金融との関わり合い全般において、リテラシー(知識と経験)水準が米国と日本では大きく異なるのだ。これが多くの特異性の理由となっている。

 ただ忘れてはいけない。フィンテックも含め、IT技術やWebの進化により、(ベンチャー)事業運営そのものが “便利” になっている。Webでマーケティングや広告・集客を行い、仮想店舗で販売。顧客管理や会計もクラウドで。イマドキの事業運営には、場所・時間・従業員数・歴史等の障壁が下がっている。

 フィンテックによりベンチャー企業への金融サービスも改善し、資金調達、財務・会計管理、そして決済もより便利になる。日米の金融リテラシーギャップを想定より短期で埋めるようなベンチャー(フィンテック)サービスもある。金融リテラシーが向上すれば、ベンチャー投資を取り巻く環境も改善する。ベンチャー企業にとってこんな追い風があるだろうか?


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