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2016年4月21日

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米ミシガン州フリント市の水道水が高濃度の鉛で汚染されていた問題で、同州司法長官は20日、州環境当局の職員2人と市職員を訴追した。フリント市の水道水問題で行政担当者が訴追されるのは初めて。フリント市は黒人住民がほとんどで、そのうち10万人近くが汚染された水道水の供給を受けていた。

ミシガン州は、州環境品質局の2人が水道水汚染について連邦政府に事実と異なる報告をしていたとして訴追。またフリント市職員は水質検査結果を改ざんしたとして、訴追された。罪状は、証拠改ざん、共謀、職務上の不正行為などになる見通しという。

シュエット州司法長官は、「フリントの家族と市民の健康を守る義務があったのに、職務を果たさなかった」と批判した。

環境品質局の職員2人は、最長禁錮5年の判決を受ける可能性がある。

シュエット氏は、今回の訴追は捜査の入り口に過ぎず、あらゆる人が訴追対象になり得ると述べた。「対象外の人は誰もいない」とシュエット氏は強調している。

水道水危機をめぐり、スナイダー州知事(共和党)の辞任を求める声が上がっている。知事は3月に連邦議会で状況を説明した際に、責任を追及された。

州や市職員の訴追を受けて知事は、「気がかりだ」、「これまでとはまったく別次元の問題となった」と述べた。

知事は、捜査継続が「きわめて重要」だと強調。知事はさらに、ろ過されたフリント市の水道水が安全だと証明するため、30日間飲み続けると公約した。

フリント氏の水道水問題は2014年に始まった。それまではヒューロン湖を水源とするデトロイト市から水道水を引いていたが、経費削減のために水源を近くのフリント川に変更した。数百万ドルの経費削減が期待されていた。

しかしフリント川の水は塩素類などを多く含み腐食性が高く、腐食した水道管から鉛が水に溶けだした。この水が水道水として市内に供給されるようになって以来、健康被害の報告が多くの住民から上がった。

このためこれまでに7家族がフリント市当局を提訴している。

<分析>ミシェル・フラーリーBBC記者

フリントの危機は、清潔な水という問題よりもはるかに大きい。行政の破綻と責任の問題であり、怒りの問題だ。

メリッサ・メイズさんは今年1月、汚染された水を1年間飲み続けた挙句、家族の髪が抜け落ち、腕や顔に痛みを伴う湿疹が出るようになったと話してくれた。

当時のフリント住民は、水道水は飲んでも大丈夫だと言われていた。腐食性があまりに強いため、ゼネラル・モーターズ(GM)は自動車部品の洗浄につかうのを止めていたにも関わらず。

アメリカでも最も住民が弱い立場におかれている都市のひとつで、深刻な公衆衛生上の危機が起きた。その責任は誰にあるのか明らかにする道のりにおいて、今日の訴追は小さな一歩だ。

しかし、フリントの住民が行政をまた信用するようになるには、ミシガン州がやらなくてはならないことはまだたくさんある。

リック・スナイダー州知事は、フリントの水道水汚染につながった政策決定について、責任の所在を明確にすると公約している。また、自宅と職場で今後30日間、ろ過されたフリントの水道水を自ら飲み続けると約束した。

しかしメリッサ・メイズさんにとってこれは、既視感を伴う展開だ。2015年の夏のワリング前市長が、ろ過された水道水をマグカップに入れて飲み干し、いかに安全か住民を説得しようとした光景を覚えているからだ。

(英語記事 Flint water crisis: Criminal charges for three Michigan officials)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/36098699

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