健康

2016年4月28日

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 4月14日から発生している熊本地震。発生から約10日が経過したが、活発な地震活動は続き、避難者は6万人を超えている。

 今回の地震では、車中泊や避難所でも狭いスペースしか確保できない避難者が多く、エコノミークラス症候群(急性肺血栓症)の発症が心配されている。4月19日にはこれが原因となって1名が亡くなっており、さらに4月22日には、熊本市内の病院では発症の疑いがあると診断された被災者が50人を超えていることがわかった。

 エコノミークラス症候群(急性肺血栓症)は、狭い場所で同じ姿勢をとり続けることで手足がうっ血し、静脈に血の塊(血栓)ができる症状で、この血栓が肺の血管を詰まらせると突然死する可能性がある。

 この予防策として、
    ・弾性ストッキングの着用
    ・水分のこまめな補給
    ・足を伸ばす
    などが紹介されているが、他にも何か予防法がないものか。

 太極拳を習っている編集部メンバーが、練習の中でエコノミークラス症候群を東洋医学的に予防する方法を聞いたことがあったため、編集部では、さらに詳しくお話をうかがおうと鍼灸師であり太極拳指導者でもある気泉鍼灸治療院院長の劉蘇元(りゅう・そげん)先生を訪ねた。

編集部(以下――) 災害時に「エコノミークラス症候群」がよくクローズアップされます。東洋医学的に見て、この症状は身体にどのような状況が起こっているのでしょうか。

劉蘇元(りゅう・そげん)
気泉鍼灸治療院 院長。中国瀋陽出身。鍼灸師。7歳に来日。東京医療専門学校で学び、鍼灸師の国家資格を取得後、中国の遼寧中医大学(中国瀋陽市)付属病院に留学。帰国後、麻布の鍼灸院院長を経て、2003年に気泉鍼灸治療院を設立。同時に太極拳家でもあり、5つの流派をまとめた名人・李経梧門下の中国国家国際気功基地で修行。現在は、治療院に併設された蘇麗太極拳スタジオで太極拳の指導も行っている。
気泉鍼灸治療院HP:http://homepage3.nifty.com/kisen89/top.html

 東洋医学では、身体を構成する「血」と「気(東洋医学では“生きるためのエネルギーの源”と定義)」をあわせた「気血」と呼ばれるものの巡りを診察し、病気の前段階で出る症状、東洋医学では「未病」という状態から治療していきます。

 エコノミークラス症候群の場合、未病の症状として、まず顔や足がむくみ、足のだるさがでます。さらに進むと、イライラが収まらない、胸が詰まったような感じがして呼吸がしにくい、ためいきやゲップが頻繁に出る、そして寝つきが悪くなる、眠れない、食欲がない、といった症状が広がっていきます。それにより、精神的苦痛も現れます。

 ――血栓ができる前に、身体からいろいろなサインがでているのですね。

 そうです。その症状が進み「エコノミークラス症候群」になる前に、治そうというのが東洋医学でいう「治療」です。

――対応策として現時点では、例えば、被災した中で車中泊を長時間行う場合は、「水を飲む」「足首を回す」というものが紹介されていますが、この他にもできる予防法や対策はありますか?

 狭いところに長時間いると、呼吸が浅くなり、身体が緊張します。これが未病を引き起こすので、まずはこの状態を解消し、気血(血流)の流れをよくする運動をご紹介します。狭いスペースでもできますよ。

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