使えない上司・使えない部下

2016年5月12日

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 その後、ファイナンス系の会社に移り、営業の仕事をしていました。しばらくすると、その上司から年賀状が送られてきました。「柔軟性のないあなたが、営業をしているなんて信じられない」という意味合いのことが書かれてありました。

 上司だった人が、こんなことを書きますかね……(苦笑)。数年前に、病気で亡くなったと聞きました。お気の毒ですが、当時のことを思い起こすと、複雑な気分になります。

 この「使えない上司」とは、正反対のタイプの上司とファイナンス系の会社で巡り会う。この会社は全国展開し、社員は数千人。井上氏は、地方支社の営業課に配属された。

「もっと稼げ!」と直接言わない

 上司は支社長で、40代前半の男性。数字(業績)には厳しい。本社から「もっと稼げ!」と言われていたようです。だけど、そのまま、私たちには言わない。

 せいぜい、ポイントを伝えるくらい。何も言わないこともありました。私たちが仕事をしやすい環境をつくってくれるのです。部下たちが、いかに仕事を気持ちよくすることができるか……。そんなことに気をつかっていたように思います。ふだんから、気さくにいろんなことを話しかけてきて、心が通じ合っているという思いでした。

 「もっと数字を!」と叱られても、なぜか、腹が立たないのです。格闘技をしていて、型破りなところもあり、にくめない人でした。前職の学習塾のブロック長と同じ意味の言葉を発しているのですけどね……。部下からすると、その受け止め方はまったく違います。

 この上司はその後、人事異動で本社に栄転します。はじめてですよ。会社員になって、他人の異動のとき、さびしい思いになったのは…。聞くところによると、本社に戻った後、ずいぶんと出世し、定年を迎えた後、ひとりで会社の経営をはじめたようです。あの方ならば、そのくらいはするだろうな、と納得しました。

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