2024年4月26日(金)

海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年5月4日

 アルバータ・テイラー(95)

 ・「トランプは人種差別者です」

クリントン選対本部のスタッフ(中央)、ボランティアの運動員(右)と筆者(@ペンシルベニア州フィラデルフィア)

 ワシントンでキング牧師と公民権運動に参加した経験があると言うテイラーさんは、トランプ候補が人種差別者であると自信を持って語っていました。

 ダリー・ウォーターズ(57)

 ・「ヒラリーのことが好きです。共和党は財政赤字を増やし、ビル(クリントン元大統領)はそれを減らしました。トランプは偏見を持っています。私は自分を少数派とは言いたくありませんので、このように言いましょう。トランプは、私のような他の民族や人種に反対です」

 「トランプは共和党を統一できるか? プリーバス委員長に突撃質問-ミシガン州デトロイトからレポート」で述べましたように、ミシガン州デトロイトにおいても戸別訪問の標的となったアフリカ系の低所得者層は、トランプ候補を人種差別者だと指摘していました。同候補が共和党の指名を獲得した場合、本選でクリントン候補はアフリカ系の票をかなり稼ぐことができるでしょう。

2人の「不公平理論」

ペンシルベニア州フィラデルフィアでの戸別訪問(ペンシルベニア州フィラデルフィア)

 サンダース上院議員は、今回の北東部5州での予備選挙において、ロードアイランド州を除いた4州で無党派層が投票できないのは民主主義ではないと主張し、不公平であるというメッセージを送っています。さらに、同議員は、ウォール街の金融機関に対して公的資金を入れて救済したのだから、今度は彼らが学資ローンの返済で苦しむ若者を助けるべきだと、「公平・不公平」の観点から議論をしています。サンダース支持者も、不公平に訴えています。特別代議員はエスタブリッシュメント(既存の支配層)及びインサイダーであり、それを獲得代議員数にカウントするのはずるく不公平であると捉えているのです。

 トランプ候補の思考様式について、「不公平」というキーワードなしには語ることができないことは「不公平、不公平、トランプの怒りの矛先-支持者を負の方向へ動機づける」で述べました。トランプ候補は、出馬した当初から演説の中で「サイレント・マジョリティ(物言わぬ多数派)」という言葉を用いています。同候補の定義は、「既存の政治・経済のシステムの中で、公平に扱われていない人」です。たとえば、退役軍人もその一人です。同候補は愛国心を持った退役軍人が、不法移民よりも待遇が悪いのは不公平であると議論するのです。

 トランプ候補と同様、サンダース上院議員も独自の「不公平理論」を展開しています。同候補と同上院議員の「不公平理論」の背景には、不公平によって有権者を動機づけ、彼らの不公平感からくる怒りや不満を票に結びつけようという意図が隠れています。


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