2024年4月25日(木)

Wedge REPORT

2016年5月7日

花を買ってもらった後のサポート

 花を買っても、その経験が良いものではないとリピートにつながらない。そのため、花屋の中で普及しつつある取り組みが品質保証だ。広島市を中心に6店舗を展開するフラワーショップみやもと「花の森」では、切り花について5日間の品質保証をし、購入後の管理についても栄養剤を花瓶の水に入れることなどを丁寧に伝えている。また、店舗で陳列している花についても出荷からの日数が分かるようにシールで色分けをしている。宮本正直社長は「これまでは従業員も花の鮮度を見た目で判断していたが、管理できるようになってロスが減った」と話す。

「サスティー」。上部の表示が青から白くなれば水やりが必要なサイン

 切り花と違い、鉢物の花を買った時に最も苦労するのが、水やり。間隔が空き過ぎれば乾いて枯れてしまうし、頻繁にやりすぎても根腐れを起こしてしまう。不慣れな人でも、水やりのタイミングを間違わないようにすることができないか。そんな考えから生み出された「サスティー」。鉢にスティック状のサスティーをさすと、水分が足りていれば上部の表示部分が青くなり、乾くと白くなる。

 サスティーを開発したキャビノチェ(東京都港区)の折原龍社長(31)は、元大手航空会社のパイロット。

キャビノチェの折原龍氏(右)と、阿佐郁弥氏

 中学生の頃に始めたハーブ栽培が趣味で、いつも気になっていたのが水やりのタイミングの難しさだった。次第に、簡単に水やりのタイミングを示す製品が作れないかと考えるようになっていた。このアイデアの実現にのめり込み、起業するに至った。「『水やり』というネックを解消すれば、市場は拡大する」と折原社長。13年7月に起業して現在はネット及び国内約800店舗で販売するほか、5月からはフランスの雑貨店100店舗での販売も始まる。

 フラワービジネスについての著作もある法政大学の小川孔輔教授も「世界的に見れば花の需要は伸びている。日本の花き業界もマーケティングをより強化して売り方を変えていけば、まだまだ需要を伸ばすことはできる」と話す。作るのが上手な日本人にとって売り方は長年の課題でもある。花き業界の中での取り組みは、それを克服するヒントになる。

  
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◆Wedge2016年5月号より

 

 


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