チャイナ・ウォッチャーの視点

2016年5月11日

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高田勝巳 (たかだ・かつみ)

株式会社アクアビジネスコンサルティング代表

株式会社アクアビジネスコンサルティング 代表取締役。拓殖大学で中国語を専攻し、1984年より1986年まで中国の遼寧大学、北京大学での留学を経て、1987年に当時の三菱銀行に入行。1993年より同行上海支店開設のために上海に赴任。1998年に同行を退職後、上海で独立し、それ以来上海を拠点としたコンサルタントとして活躍。2002年より現職。この間、多くの日中間のビジネスにコンサルタントとして関与、最近は日系企業の顧客以外にも中国企業の対日投資並びに技術導入も支援している。中国の第一財経テレビ、香港のフェニックステレビの時事討論番組のコメンテーターとしても活躍している。

 上海の銀座通りと言われる南京西路まで歩いて10分くらいの一等地で、占有面積40平方メートル程度、30数階南向きの高級マンションの価格が約1億円。いつも、中国経済に対して極めて厳しい見方をする彼に「今こんな高値で買って大丈夫なのか?」と聞いたら、以下の回答だった。

上海の投資家はまだまだ強気

 ⒈ 現在中国経済が厳しい局面にあるのは確かだが、上海の不動産はこれからもまだまだ上がるとみている。

 ⒉ 今回の売り手の香港人は多分香港の李嘉誠を見て今が売り時と思ったのかもしれない。

 ⒊ しかしながら、政策が緩和されれば、まだまだ上海の不動産を買いたい外地の人が控えているし、中国経済が本当に厳しくなれば中国政府は、まだまだ経済を立ち直すカードを持っている。

 ⒋ それでもハードランディングはあるかもしれない、ただ、歴史的に見て、中国が危機に陥れば陥るほど中国人は上海に避難しようとして、上海の不動産はもっと上がる可能性だってある。日中戦争の混乱時にだって多くの中国人が上海に逃げてきたのと同じこと。

 また、連休中、金融業で大成功している若手事業家にも話を聞いた。彼はバンドを見渡す浦東の金融センターに位置する3億円は下らない高級マンションに住んでるが、近くで5億円くらいの優良物件が売りに出ているので購入を検討していると。彼も上海の不動産がまだまだ安いとみており、香港の最高級の物件の単価は10倍するそうなので、上海もいずれ同程度になると見ていると。ただ、彼も中国経済はこれから波を繰り返すので、下振れたときは必ず買いを入れて優良物件を拾ってゆきたいとのことであった。

 ここで私が言いたいのは、売り手と買い手の認識のどちらが正しいか? ということではない。外から見る中国と中から見る中国、また同じく中国で生活している人でさえ実際これほどの認識のギャップがあるということである。この認識の違いも一つのファクトとして認識しておくべきではないか。

  
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