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2016年5月9日

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ギリシャ議会は9日未明(日本時間同日朝)、同日のユーロ圏財務相会合に先駆けて、税制と年金対策を含む包括的な財政構造改革法案を可決した。

追加緊縮措置には賛否両論あるが、可決されたことによって、50億ユーロ(約6200億円)の追加融資を受けられる可能性が出てきた。

採決の前にはアテネの議会前で、追加緊縮策に抗議する市民が警官隊に火炎瓶を投げつけ、警察は催涙ガスでこれに応じた。

数千人規模の抗議が首都アテネや第2都市テッサロニキで行われた。一部で警察との衝突があったが、大半は平和的抗議だった。

採決に至っては主要労組が3日間のゼネストを決行。公共交通機関は止まり、行政機能やマスコミに影響が出た。

複数の労組は、国民はこれ以上の緊縮策に耐えられないと反対している。

チプラス首相は、新しい改革法案で支給年金額が減るのは年金生活者の7.5%にとどまるなど、「社会正義を中心的な理念とする」「持続可能な」仕組み作りが主眼だと主張してきた。

首相は、9日のユーロ圏財務相会合では、「6年の長き」にわたる緊縮協議を経てようやくギリシャの債務削減が議題になるだけに、9日はギリシャにとって「きわめて重要な日」になると展望を述べた。

ギリシャ議会は不人気な年金削減・増税策を2日間にわたり討議し、採択に至った。

改革法では、一部の年金支給額を減らし、複数の年金基金を合併し、社会保障費を増額し、中高所得者層の税率を上げる。

採択前にはギリシャ共産党のコウツォウバス書記長が、ギリシャ国民は改革法案の中身を「容認しないし受け入れない」と反対し、採択された場合には国民が「真の力を示すだろう」と抵抗を示した。

中道左派・全ギリシャ社会主義運動のゲンニマタ党首は、法案は「年金制度の完全な解体」を意味すると批判し、改革支持派はあちこちの広場で5年前に市民に「何でもかんでも約束した」ものの、今では事務所の外に出るのを怖がっているし、それは「無理もない」ことだと批判した。

チプラス氏率いる急進左翼進歩連合(シリザ)は、緊縮策に反対して与党となったが、その後は欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)など国際債務団の金融支援を受け入れている。昨年は最大860億ユーロの追加支援に合意した。

IMFなど債権団は、ギリシャが将来の赤字削減目標を達成しなかった場合に備えて、40億ユーロ分の追加緊縮策を実施するよう求めている。

ユーロ圏財務相会合に先立ち、ギリシャのツァカロトス財務相は「われわれは約束を履行した。なのでIMFとドイツは、実施可能な解決策を提示しなくてはならない。投資家に向けて明確な地平を開く、債務解決法が必要だ」とコメントした。

一方のユーロ圏財務相たちは、「ギリシャ公的債務の持続可能性、ならびに包括的な構造改革案」を検討する方針だと発表している。

ギリシャは昨年夏、債務不履行となり、ユーロ圏離脱が懸念される状態となった。ギリシャ政府はすでに、国内総生産(GDP)比3%にあたる54億ユーロ分の支出削減策に取り組もうとしている。

(英語記事 Greece passes tax and pension reforms)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/36244845

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