WEDGE REPORT

2016年5月13日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 次のアメリカ大統領が誰になるにせよ、大統領専用車両はテスラモデルXに? その根拠は、テスラが発表した「バイオウェポン・デフェンス・モード」にある。昨年にモデルXがリリースされた時点ですでに装備が発表されていたこの『バイオモード』だが、このほどテスラ自身が自社で行ったテスト結果などを発表した。

 元々テスラではモデルS、XにHEPAフィルターを装備している。このフィルター、通常の車の空気清浄用フィルターの10倍近い大きさで、空気中の排気ガス、バクテリアなどをろ過しキャビン内の空気を清浄に保つ。テスラによるとHEPA(high-efficiency particulate air filter)フィルターのみで通常の車の数百倍の空気清浄効果がある、という。

考えうる限りの最悪のコンディション

実験の様子(テスラ・ニュースリリースより)

 しかしカリフォルニア州内の実際の道路などでテストを繰り返し、このような数字にたどり着いたとはいえ、「考えうる限りの最悪のコンディション」の中での実験は行われていなかった。

 そこでテスラはこの考え方を一歩進め、「バイオモード」に到達した。バイオモードとは、HEPAフィルターによる空気ろ過に加え、キャビン内の加圧を強めることで車内の気圧が外より高い、つまり外の空気がキャビン内に浸入しにくくする機能を備える。

 元々モデルXには3つの空気清浄モードがある。HEPAフィルターを通して外の空気を取り込み、それをろ過して清浄化するもの、車内の空気をフィルターに循環させて再清浄するもの、そしてバイオモードだ。バイオモードを発動させると加圧のため外の空気は取り込みにくくなり、主に車内フィルターで空気のろ過を繰り返す。そのためHEPAフィルターモードよりもさらに外側の汚染物質が減少する仕組みだ。

 テスラでは密閉空間に、PM2.5が1立方メートル当たり1000マイクロメートルという空気を満たし、そこにモデルXを入れてバイオモードを立ち上げる実験を行った。ちなみに米連邦政府が定める「良い」大気の質は1立方メートル当たり12マイクロメートルだ。下の表はテストの結果、密閉空間内の空気(黒い部分)とモデルX内部の空気(青い部分)を比較したもの。モード立ち上げからおよそ2分でHEPAフィルターによる空気清浄と加圧により、車内のPM2.5の濃度はほとんど検出不能のレベルに下がった、という。

実験結果(テスラ・プレスリリースより)
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 テスラCEOイーロン・マスク氏によると、HEPAフィルターと通常の車に装備されているエアフィルターを比較すると、大きさが2ミクロンのバクテリアでは300倍、1ミクロンのアレルギー原因物質では500倍、0.1ミクロンの排気ガスでは700倍、そして0.01ミクロンのウィルスでは800倍のろ過効果が見られる、という。PM2.5を例にとると、HEPAフィルター搭載の車で清浄な空気を吸うことで、中国北京では平均余命が22カ月、メキシコシティでは10カ月延びる、という。ちなみにロサンゼルスでは8カ月、川崎では4カ月だ。

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