2024年4月25日(木)

ネット炎上のかけらを拾いに

2016年5月17日

 そう、今のインターネットは不寛容だ。特にTwitter。炎上の9割はTwitterに端を発すると言っても過言ではない。Twitterはユーザーが興味関心のある内容ごとに「固まる」傾向にあり、あるクラスタの中で支持を集めるためには、そのクラスタの中でよりウケる、より極端な、より対立するクラスタに批判的なつぶやきを発していく必要がある。保守とリベラル、表現規制派とアンチ表現規制派、フェミニストとアンチフェミニストのやり取りを見ていればそれは明確だ。Twitter上の同じクラスタに認められるために、一部のユーザーは他のクラスタに対して極端に不寛容になっていく。その帰結が、そこかしこで起こる炎上騒動だろう。

 「ご不快な思いを感じさせる企画内容でありましたことを、深くお詫び申し上げます」、こういった謝罪に対し、Twitterの一部ユーザーは必ず、「ご不快な思いをさせたからではなく、差別的だったことに謝るべき」と突っ込む。

 個人的にはこれまでの取材経験で謝罪対応に追われる現場担当者の悲哀を知っているので、謝ったら許してやって……と思ってしまうのだが、まあそれはいい。さすがにいかがなものかと思うのは、「『ご不快な思いをさせたとしたら申し訳ありません』なんて、謝罪になってない」などという改変。「ご不快な思いを感じさせる」の部分を、「ご不快な思いをさせたとしたら」と改変しているのだ。怒っている人は怖い。しかしもっと怖いのは、自分のクラスタの中でより認められるために功をあせる人の群れである。

  
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