野嶋剛が読み解くアジア最新事情

2016年5月20日

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 選挙というのは、中にいると得てして難しく考えてしまうし、実際に内部の人間関係や利害関係はたいへん重要な要素であるのだが、やや離れたところから冷静に結果だけを見てみると、「こうしてれば良かったのに」とあっさり分析できてしまうことも多い。

派手なフィリピン選挙のポスターの洪水。マニラ市内で(著者撮影)

強いと思われた陣営が負ける普遍的な理由

 特に「敗因」を知ることは「勝因」を知ることよりも容易いものだ。そして、どの国でも、国政でも、地方でも、選挙において強いと思われていた陣営が勝利をつかみ損ねる最も普遍的な「敗因」は、分裂選挙に陥ることである。それが、9日に投開票が行われ、選挙戦当初は有力候補とは思われていなかったダークホースのダバオ市長、ロドリゴ・ドゥテルテ氏の勝利が確実になった今回のフィリピン大統領選にもぴったりあてはまる。

 フィリピンのお隣の台湾総統選では、2000年に民進党の陳水扁が勝利し、台湾にとって歴史的な転換点となる政権交代を成し遂げた。その際、国民党が分裂して、連戦と宋楚瑜の2人が出馬し、結果的に得票率40%に満たない陳水扁が勝利した。連戦と宋楚瑜の得票を足せば陳水扁の得票を大きく上回ったことは言うまでもない。分裂が台湾の歴史を動かしたのである。日本でも歴史的事件となった1993年の自民党の下野と細川政権の誕生は、自民党経世会の分裂が原因だった。

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