世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年5月27日

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 アイヴォ・ダールダー(元米NATO大使)とロバート・ケーガン(米ブルッキングス研究所上席研究員)が連名で、4月22日付ワシントンポスト紙掲載の論説にて、米国には相当な力もあり、今の国際秩序を守っていくのが米国の利益である、と論じています。両名の論旨は次の通り。

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未だに強い米国の戦略的立場

 今の繁栄は、自由で開放的な市場と活発な国際貿易、民主主義の拡大、大国間の大紛争の回避によりもたらされた。これらは米国の世界への関与による。しかし、両党の大統領候補者は、指導者たる負担から自由になった米国のビジョンを説いている。

 彼らは、米国が関与をやめる代償が関与のコストを大きく凌駕することを理解していない。米国が作った国際秩序は今日、冷戦の最盛期以来、最大の挑戦を受けている。アジアと欧州の権威主義政権(ロシア、中国、イラン等)は、戦後安保秩序を壊そうとしている。ISISはいかなるテロ組織よりも大きい領土を支配、中東、北アフリカ、欧州を攻撃対象としている。これらの脅威は簡単になくならない。米国は20世紀に二度経験したように、国際秩序が崩壊した時に無傷ではいられない。

 我々は、米国の指導の再建に関する超党派外交コンセンサスを作る必要がある。「ポスト米国の世界」の予言にも拘わらず、米国の力はまだ相当ある。米経済は世界で最もダイナミックで、米経済がブラジル、ロシア、インド、中国の経済に追い越されているとの考えは神話である。ドルは世界の準備通貨であり、世界中の人々が米国の投資などを求めている。米国の高等教育は世界一で、世界各地の学生を惹きつけている。自由を求める人々の声はロシア、中国、イランその他で聞かれる。米国の戦略的立場は強い。50以上の同盟国やパートナーが米国にはある。ロシアと中国には数カ国しかない。

 今後の課題は、この強さを生かし、多くの世界の人が求め、米国民も支持できるような指導力を提供することである。ただ、国際秩序維持の戦略は、時代に合わせて適応させる必要はある。

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