2024年4月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年5月27日

 例えば、国際経済の強化のためには、米国とアジア・欧州との貿易・経済取り決めを成立させる必要がある。TPPは米国の年間所得を1310億ドルも増やすとの試算がある。米国はIMFを改革、中国などの関与を拡大させ、またAIIBがリベラルな経済規範を弱めるのではなく、強めるようにすべきである。

 エネルギー革命で米国が世界の主要供給者になったことも大きな優位をもたらす。米国は欧州・アジアの同盟国を助け、ロシアの工作への脆弱性を減らせる。ロシア、イラン、OPECは弱体化する。米国の力は相対的に増加する。

米国ほど秩序維持に役割果たせる国はない

 世界は教育、創造力、イノベーションが繁栄の鍵であると認めているが、米国はこれらの分野でのリーダーである。他国は米国の市場、金融、発明へのアクセスを欲している。米国は移民をもっと受け入れるべきである。留学生、ハイテク企業を作る起業家、新しい機会を捜す移民は米国を強くするし、世界に民主主義が提供する機会を示す。

 最後に、同盟国に侵略があれば米国は支援することを再保証すべきである。「敵対国」たりうる国は現秩序を壊すよりも統合される方が有利であると知るべきである。そのためには、予算強制削減の停止、国防費増、国際関係費増をすべきである。この投資はそれがもたらす世界的安全保障で十分に支払われる。

 責任ある指導者は、貿易が安保を、軍事力が繁栄を、米国の教育へのアクセスが自由な世界への勢力を強化することを示すべきである。

 多くの人や国が、生活水準向上、開かれた政治、平和をもたらした国際秩序から利益を得た。しかし、米国ほど利益を得た国はない。そして、米国ほど秩序を将来も維持するために大きな役割を持つ国はない。

出典:Ivo Daalder & Robert Kagan‘The U.S. can’t afford to end its global leadership role’(Washington Post, April 22, 2016)
https://www.washingtonpost.com/opinions/the-us-cant-afford-to-end-its-global-leadership-role/2016/04/22/da297be0-062a-11e6-b283-e79d81c63c1b_story.html


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