2024年4月26日(金)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2016年5月23日

レンタル着物の戦略とは?

 正直に言えば、格安のレンタル浴衣はペラペラの化繊の和装生地だから、レンタル業者も気楽なものだ。いくら汚してもジャブジャブ洗えるから和装着物の大革命である。まあ、言ってみれば数でこなすという着物業界のビジネスモデルが確立したわけだ。レンタル着物には手描き友禅などはない筈である。多分、中国のどこかでプリント柄をコンピューターグラフィックスでデザインして大量生産しているのだろう。

着物姿の女性が見られる

 別の見方をすればあのけばけばしい着物の柄目は中国の観光客の皆さんにはよく映っているともいえる。日本人の着物のセンスは「詫び寂び文化」に近いから、レンタル着物ブームとは似て非なるものである。そういえば、旧来の冠婚葬祭のニーズについては別に結構繁盛しているとも聞く。市場ニーズの差別化もあって、結婚式の黒留袖になると正絹の着物になるから、最低でも1万5000円から2万5000円が相場になるらしい。和装の世界にも多様性とグローバル化が進んでいると言えないこともない。

高田好胤老師の視点

 さて、修学旅行生のレンタル着物も流行しているが、中高生でも日本人だから、ペラペラの化繊生地はやはり嫌がるらしい。彼らは着こなしも見よう見まねで渋い着こなしをしているから堂にいったものだ。そう言われると最近では東京でも若者たちが着物を着て繁華街を歩いているのが流行っているのは修学旅行の学習効果なのかもしれない。

 話は変わるが、奈良の薬師寺の故高田好胤管主は修学旅行生に説法をするので有名だったが、青空法話で600万人以上の生徒さんに青空法話をしたことを聞いたので「毎日、修学旅行の生徒さんに説教するのは大変でしょう」と僕が聞いたら「いや、将来のために今から市場開拓しとかんと日本の仏教は廃れるからな〜」と屈託なく笑われたのを思い出した。京都の呉服屋さんも高利益商いの限界を感じて高田好胤さんの真似をして、和服の市場開拓を目指しているのかとも、フッと思ったがそんな発想を持っている和装衣料の経営者は寡聞にして聞いたことはない。


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