サムライ弁護士の一刀両断

2016年5月23日

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河本秀介 (かわもと・しゅうすけ)

弁護士

敬和綜合法律事務所所属。
東京大学卒業後、三菱重工業での勤務経験を経て、2007年に弁護士登録。
以後、会社関係訴訟、企業経営への助言、株主総会指導、M&Aアドバイスなど、コーポレート分野を中心に、幅広い内容の業務を遂行している。

今後のオンラインゲーム・ビジネスに与える影響

 さて、関東財務局の判断が、具体的にどういったものなのかは現時点で公表されていませんが、一連の動きは、オンラインゲーム・ビジネスの今後のあり方に少なからない影響を与えるのではないかと予想しています。今回、前払式支払手段にあたるとされた「宝箱の鍵」は、1個消費することで「ゲーム内で入手した宝箱を開ける」という動作を行い、特別なアイテムをランダムに入手することができるというアイテムです。

 「宝箱の鍵」は「他のアイテムと交換可能な消費アイテム」という点では他のゲーム内通貨(前払式支払手段にあたるもの)と同じような働きをします。
その一方で、「宝箱の鍵」には、①ゲーム内通貨でしか購入できず、現金では購入できない、②ショップに並んだアイテムの購入にあてることはできないという面で、通常のゲーム内通貨とは異なる特徴がありました。そういった、通常のゲーム内通貨とやや異なる「宝箱の鍵」が前払式支払手段だと認定されたのだとすると、今後、次の点について慎重に判断する必要がでてきそうです。

 第一に、あるゲーム内アイテムについて「ゲーム内通貨でしか購入できず、直接現金では購入できない」という取扱いをした場合であっても、前払式支払手段にあたる可能性があるという点です。多くのオンラインゲームが、まずユーザーにゲーム内通貨を買ってもらい、そのゲーム内通貨でアイテムを買ってもらうという二段階の支払い方法を取っています。そういった場合の、二段階目のアイテムについても前払式支払手段にあたるかどうかを慎重に判断しなければならないということになりそうです。

 第二に、ゲーム内ショップに並んだアイテムを購入する目的以外のアイテムであっても、「前払式支払手段」にあたる場合があるという点です。特に、昨今のオンラインゲームでは、プレイ自体を無料としつつ、「ガチャ」などと呼ばれる、ランダムでアイテムが入手できる有料のくじを引いてもらうという課金システムが多く使用されています。

 この「ガチャ」を引くためのチケットやアイテムを有料で販売しているような場合、今回の「宝箱の鍵」の例によると、やはり「商品の購入やサービスの提供を受けるために使用されるアイテムである」とされる可能性が高いのではないかと考えられます。そういったゲーム内アイテムが有料か無料か、どのように使われるのか、あるいは有効期限があるのかないのか、などによって、発行保証金の保全の必要があるのかどうかを慎重に判断する必要があるでしょう。

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