BBC News

2016年5月23日

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イラクのアバディ首相は23日、過激派勢力のいわゆる「イスラム国」(IS)から中部ファルージャを奪還する作戦の開始を発表した。

「ファルージャ解放の時がきた。偉大な勝利の瞬間は近づいた。ダーイシュ(ISの別称)は逃げるしかほかに道がない」と首相は述べた。

イラク軍はすでに、市民に避難するよう呼びかけている。軍報道官は国営テレビで、避難できない住民は家に白旗を掲げるよう求めた。軍と警察、志願兵部隊がファルージャを取り囲んでいるという。

バグダッドを拠点とするクルド系ニュースサイト「シャファク」は22日、総攻撃に先駆けて2万人近い警官隊がファルージャ近郊に集まっていると伝えた。

BBCのジム・ミュア中東特派員によると、ファルージャには市民6万人~9万人が残っている。多くはIS戦闘員の家族という。

米国の元イラク大使クリストファー・ヒル氏はBBCラジオに対して、ファルージャ奪還作戦には時間がかかるだろうと話した。「ハイデル・アル・アバディは大勢の米国人顧問のアドバイスを聞き入れたと思う。つまり、拙速に急いではならないと。なのでとても慎重に、とても丁寧に取り組んでいる。作戦は最終的に成功すると楽観視するだけの理由はあると思う」。

ファルージャは首都バグダッドから約65キロ西にあり、ISが2014年6月に北部やバグダッドの西側に大攻勢を展開した際に制圧された。その後はイラク軍や米軍主導の空爆によって、次第にISを掃討。イラクに残るIS主要拠点は今ではファルージャと北部モスルの2カ所となっている。

イラク軍は昨年12月、ファルージャに近いラマディを奪還。アバディ首相はその時もIS掃討を約束した。

国連と人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」は4月、ファルージャ住民は餓死する恐れがあると警告した。

世界食糧機関は、ファルージャを奪還しようとする政府軍が物資の補給ルートを断ち、ISが住民の避難を阻止しているため、市内の備蓄は枯渇しつつあると指摘。HRWは、中には生き延びるため草を食べざるを得ない住民もいると報告していた。

論説サイトVox.comによると、米国で7ドル50セント(約830円)相当の小麦粉1袋(重さ50キロ)が、ファルージャでは4166ドル(約45万8000円)で売られていたという。

<解説> ジム・ミュア、BBCニュース(バグダッド)

イラク軍と警察と非正規部隊がファルージャをほぼぐるりと包囲し、本格的に態勢を整えて、複数方向からの奪還作戦に備えている。軍関係者によると、数日中に戦闘を開始する予定で、2~3週間は続く見通しだ。

この展望は楽観的に過ぎるのかもしれない。さらに西部にあるラマディを今年初めに完全掌握するまでには、何週間もかかったのだから。

ファルージャはラマディよりもずっと長く、2年半近くもISに支配されてきたし、政府軍による大掛かりな砲撃や空爆にも耐えてきた。

しかしイラク軍筋は、ファルージャに残る戦闘員の数は半減したとして、奪還作戦はラマディよりもはるかに速やかに進展するものとみている。

(英語記事 Falluja assault: Iraq PM announces beginning of military operation)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/36355955

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