世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年5月31日

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 ニューヨークタイムズ紙は、5月2日付社説で、イラクの政情の混乱に関連し、サドル師が暴力と宗派主義を避け、反汚職を引き続き打ち出すならば、アバディ首相の改革に助けとなり得る、と指摘しています。社説の要旨は以下の通り。

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未だ力維持するシーア派聖職者サドル師

 シーア派聖職者モクタダ・アル・サドル師の支持者によるイラク議会の占拠は、象徴的意味に満ちている。4月30日、デモ隊は厳重に防護されている「グリーン・ゾーン」(旧米軍管轄区域)に侵入、国民から支配層のエリートを隔てていた壁を打ち倒し、議員の事務所を荒らし、テクノクラートによる新たな政権が政治的利権のネットワークに取って代わるよう要求した。5月1日、デモ隊はサドル師の要請に従って撤退した。

 イラク政治の不安定を考えれば、この示威行動が何に繋がるかは予測不可能であるが、サドル師(元民兵指導者で、自らを反腐敗改革者と位置づけ直している)が、力を維持していることを明らかにした。

 サドル師は、次にどういう行動をとるかにより、イラク政治の分極化を深めることも、機能する政府を作るとのアバディ首相の努力を前進させることもできる。後者の可能性が、イラクがISから領土を奪還し、原油安による経済危機にたちむかう唯一の道である。

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