2024年4月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年6月1日

公然と日本入札に反対キャンペーン敷いた中国

 最も大きな影響は、豪最大の貿易パートナーである中国が、公然と日本の入札への反対キャンペーンをしたことであろう。2月、中国の王毅外相は豪外相に対し、第二次大戦を思い出し、アジアの国々の感情を考慮するよう警告した。

 中国が心配する理由は容易に説明できる。日本が落札すれば、日豪関係は強化され、日豪両国と米国の海軍のインターオペラビリティは向上し、新しい豪潜水艦は米国製の戦闘システムと魚雷を搭載することになっただろうし、日本がトップクラスの潜水艦輸出国となり、防衛費の一部を賄うのを助けることにもなったであろう。

 ターンブルが訪中し、豪州のコモディティへの過度の依存を低減させるのに中国市場は重要である、と発言した1週間後に決定を発表したことにつき、日本はよく分かっている。前任者のトニー・アボットは、日本が強調する戦略的理由から日本の受注を支持していたが、今や、ターンブル政権はそれを強調しなくなっている。

 ただ、日豪の多くの者が強調する通り、豪州が防衛をより真剣に受け止め、日本との協力強化論が圧倒的であることは、良いニュースである。豪州は、潜水艦を12隻に倍増させるとともに、国防費全体を今後10年で230億ドル増額する予定である。

 豪州の潜水艦契約は、中国の海洋における攻撃性が地域の反発を招いていることを強く示している。シンガポール、ベトナム、インドネシア、フィリピンも潜水艦を近代化しようとしている。次は、米国がその必要性を再検討するかもしれない。ハリー・ハリス米太平洋軍司令官は、最近、米海軍は攻撃型潜水艦を現在の52隻から2028年には41隻に減らそうとしているとして、潜水艦不足への警告を発した。広大なインド太平洋のシーレーンをオープンに保つには、民主国家間の協力、そして潜水艦艦隊が必要である。

出典:‘Submarines Down Under’(Wall Street Journal, April 26, 2016)
http://www.wsj.com/articles/submarines-down-under-1461712003

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