今月の旅指南

2009年12月30日

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辻 一子 (つじ・いちこ)

岡山県生まれ。フリーライター。旅行会社のPR誌の編集者を経て、1998年からフリーランスに。旅の雑誌を中心に活躍。

 イタリア・ローマ市北東部に「ルネサンス・バロック美術の宝庫」といわれる美術館がある。大理石で飾られた白亜の館、ボルゲーゼ美術館だ。収蔵品の基礎になっているのは、ローマ教皇パウルス5世の甥であり、名門貴族であったボルゲーゼ家の枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼ(1576~1633年)が、一流の審美眼と類まれなる情熱、そして絶大な権力と富を駆使して集めた珠玉のコレクションだ。

ラファエロ・サンツィオ
「一角獣を抱く貴婦人」 1506年頃 
ボルゲーゼ美術館所蔵

 19世紀になるまでボルゲーゼ家のコレクションは散逸することなく奇跡的にほぼ完全な形で保たれていた。ところが、1807年にナポレオンの妹であるパオリーナ・ボナパルトがボルゲーゼ家に嫁いだのを機に、ナポレオンから圧力がかかり、約400点もの作品をフランス国家に売却したといわれる。

 ただ、こうした出来事を経てもなお、同家には夥しい数の美術品が残った。今回の展覧会は、そんなボルゲーゼ美術館のコレクションを日本でまとめて紹介する初めての機会だ。枢機卿が見出した彫刻家ジャン・ロレンツォ・ベルニーニや、枢機卿が庇護した画家カラヴァッジョの作品、また、ラファエロの名作「一角獣を抱く貴婦人」など、選び抜かれた珠玉の名品をぜひ一目見ておきたい。
 
 

 
 
 
 

ボルゲーゼ美術館展 ラファエロ「一角獣を抱く貴婦人」
東京都台東区・東京都美術館(山手線上野駅下車)
〈問〉03(5777)8600
http://www.tobikan.jp/

◆「ひととき」2010年1月号より


 

 


 

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