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2016年6月1日

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イラク政府軍が中部ファルージャを過激派勢力「イスラム国」(IS)から奪還するため進攻しているのに対して、ISは31日早朝、反攻を開始した。

ファルージャ南郊ヌアイミヤを政府軍が前進すると、IS戦闘員数十人が攻撃してきたという。政府軍士官たちが複数の通信社に明らかにした。政府軍はISを撃退したが、政府軍側にも死傷者が出ているという。

ファルージャ進攻作戦を指揮するアブデルワハブ・アル・サアディ司令官はAFP通信に対して、約100人のIS戦闘員が反攻に参加し、75人が死亡したと話した。

「重装備で反撃してきたが、自動車爆弾や自爆攻撃は使っていない」と司令官は話した。

これに対して特殊部隊の士官2人はAP通信に対して、ISは大量の爆弾を積んだ自動車6台を使用したがいずれも標的にたどり着かなかったと話した。士官2人は匿名を条件に取材に応じ、ISが狙撃手やトンネルを使って反撃してきたと説明した。

包囲下にあるファルージャ市内には市民5万人が閉じ込められているとされる。住民が餓死したり、ISの戦闘員となることを拒否して殺害されたりしているとの情報もあり、懸念が高まっている。イラク政府軍は、市民に市内を離れるか屋外に出ないよう促しているが、ISは住民の脱出を阻止しているという。市内にはIS戦闘員が1200人ほどいるもよう。

ファルージャを脱出した家族を支援しているノルウェー難民会議のヤン・エグランド事務局長は31日、ファルージャで「壊滅的な事態」が起きていると警告。「安全な脱出方法がないまま、大勢の家族が戦闘のただなかに巻き込まれている」、「戦闘当事者はただちに、市民の安全な脱出を保障しなくてはならない。そうしないと手遅れになり、さらに人命が失われる」と呼びかけた。

首都バグダッド西方50キロのファルージャは2014年にアルカイダとISに陥落した。ISはイラク国内でファルージャのほか主要都市モスルを抑えている。

ファルージャはバグダッドとシリア、ヨルダンをつなぐ交通の要衝で、2014年に制圧される以前の人口は30万人以上。イスラム教スンニ派が住民の大半を占め、イラク戦争中はサダム・フセイン政権を支持したため、2003年から2004年にかけて米軍への抵抗の象徴となった。

<解説> ミナ・アル・ラミ、BBCモニタリング

ISは、戦闘動画や写真を証拠として出して、ファルージャに攻めてくる政府軍の撃退に成功していると主張している。

先週には、ひどい重傷を負った子供の映像を公表し、政府軍の攻撃が市内の住民にいかに被害を与えているかを強調していた。子供の映像はソーシャルメディアで拡散した。自分たちに対する軍事作戦を批判するため、市民の被害映像を出すのは、ISの常套手段だ。

現在の攻撃で市内に閉じ込められている住民についてISはコメントしていないが、過去にはIS支配地域から脱出しようとするイスラム教スンニ派住民に警告を発している。

ISのアブ・ムハンマド・アル・アドナニ報道担当は先週、たとえそれが民間人の犠牲につながったとしてもIS戦闘員はあらゆる重要拠点で「死ぬまで戦う」と述べ、焦土作戦の実行を示唆した。

このため、ISが市民のファルージャ脱出を認めるとは考えにくい。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、複数の家族がまとまって戦闘員たちとの移動を余儀なくされるなど、「人間の盾」として使われているという情報に言及している。

(英語記事 Islamic State group hits back as Iraqi army moves into Falluja)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/36423277

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