BBC News

2016年6月1日

»著者プロフィール

米国務省は31日、パリで今月10日に開幕するサッカーの欧州選手権(ユーロ2016)が武装勢力の標的にされる危険性があると、海外旅行者に警戒を呼び掛けた。

国務省は、「夏の間、欧州を訪れる大勢の観光客はテロリストにとってより大きな標的になる」と述べた。

今月10日から来月10日までの欧州選手権の会期中、フランス各地で試合が行われる予定となっている。

フランスは、昨年11月にパリで連続襲撃事件が起きて以来、非常事態宣言下にある。事件では、ほぼ同時に競技場やコンサートホール、バーやレストランが襲撃され、130人が死亡、そのほか多数が負傷した。

今年3月には、隣国ベルギーでブリュッセルの空港や地下鉄駅で自爆攻撃などが起き、32人が死亡している。武装組織のいわゆる「イスラム国」(IS)が、パリとブリュッセル両方の事件について犯行声明を出した。

欧州各国のナショナルチームが競う欧州選手権には、フランス国外から最大100万人のサッカーファンが訪れると予想されている。

米国民に対する国務省の渡航警戒情報は、欧州全域が対象となっている。国務省が短期的な渡航警戒情報を出すのは稀ではないが、欧州向けは過去20年間で今回を含め3回のみ。

国務省は観光地やレストラン、商業地域、交通機関が標的になる可能性があると警告したほか、欧州選手権といった大きな催し物を挙げ、攻撃の危険性があると指摘した。

標的になる可能性がある催し物として、自転車競技のツール・ド・フランスやポーランド・クラクフで予定されるカトリック教会の「世界青年の日」が挙げられている。「世界青年の日」は最大250万人が参加する見通し。

米政府の高官はロイター通信に対し、特定の脅威に関する情報を受けて今回の渡航警戒情報を出したのではないと語った。

英外務省はフランス国内のテロリズムの脅威に対して警告。米国務省の警戒情報に関するコメントとして、特に欧州選手権の試合観戦のため渡航するサッカーファンに警戒を呼びかけた。

フランスの非常事態宣言は欧州選手権の会期中を含むために延長されている。ドローン(無人小型機)対策の技術も使い警戒態勢を固める。

9万人以上の警官や兵士、民間警備員も配備される。

専門家の見方

オバマ政権でパキスタンを担当していたシャミラ・チャウダリー氏はBBCのタラ・マックケルビーに、テロリズムが「日常」となった場所について米国が渡航警戒情報を出すのは標準的な対応で、今や欧州もそこに含まれるということだと指摘した。

チャウダリー氏は、「米国人だけでなく、欧州の人々自身が、国内のテロリズムから目をそらしてきたと思う」と述べた。

しかし、英国の秘密情報部(通称MI6)で対テロ部門を率いたリチャード・バレット氏は、米国が渡航警戒情報を出すのは、危険の可能性について情報を得たからということが多いと説明。何かが起きるからというより、情報を伝えなくてはならないからだと指摘した。

今回の警戒情報についてバレット氏は「欧州全体について触れている」だけに、内容はあいまいだと語った。

元中央情報局(CIA)幹部で、米国務省の対テロ調整官を務めたヘンリー・クランプトン氏は、「兆候や多くの雑多な情報に反応しただけかもしれない」と述べた。

提供元:http://www.bbc.com/japanese/36423350

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る