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2017年4月9日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、東京証券部、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務める。11年からフリーに。熊本学園大学招聘教授。近著に『国際会計基準戦争 完結編』(日経BP社)。

 中村さんは大学で醸造学を学んだ後、東北の日本酒蔵で修行。その後、大阪の酒販店でも働いて郷里に戻った。

 古老の杜氏から技を受け継ぎ、今は社員と共に自ら焼酎作りに汗を流す。醸造・蒸留だけでなく、瓶詰めからラベル貼り、梱包までほとんど手作業だ。昔からの道具を使い続けることもこだわりなのだ。

 そんな「本物」志向の芋焼酎作りの現場を酒蔵仲間や焼酎ファンに公開している。

 作業工程の細かな点まで中村さんは丁寧に説明する。焼酎にかける思いを知ってもらいたいからだ。本気で取り組んでいる姿を見せれば、その志は人に通じ、着実に焼酎ファンが増えていく。そう考えている。

 焼酎王国の危機とはいえ、宮崎や熊本の焼酎蔵と対立しようとは思っていない。むしろ共同戦線を張って、もう一度、全国に焼酎ブームを巻き起こしたいと夢見る。

焼酎蔵ともコラボ

フューチャーズの会合に出席する中村さん
(撮影・磯畑弘樹)

 中村さんは「Futures(フューチャーズ)」というグループも立ち上げた。焼酎蔵の未来を担う次世代をネットワークし、勉強会やイベントを行っていく計画だ。メンバーには鹿児島と宮崎、熊本から加わった。

フューチャーズのメンバーの焼酎
(撮影・磯畑弘樹)

 ワインには様々な味わいの表現方法が定着している。日本酒でもそうだ。それに比べて焼酎は、ただ酔うためだけの酒といったイメージが付きまとう。ワインのような味わいの表現を焼酎でも開拓できないか。そんな勉強会も行っていく。

 鹿児島の小規模な焼酎蔵の若旦那が始めた小さな取り組みが、次々と連鎖反応を起こし、焼酎ブームの再来を引き起こすかもしれない。

 (写真・井上智幸)

  
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