サムライ弁護士の一刀両断

2016年6月6日

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鈴木健文 (すずき・たけふみ)

弁護士

弁護士。敬和綜合法律事務所、ケルビン・チア・ヤンゴン法律事務所所属。2009年登録。東北大学法学部卒業、首都大学東京法科大学院修了、南カリフォルニア大学法学修士(エンターテインメント法)。日本では、M&Aアドバイス、知的財産法務、金融法務、渉外法務等に従事。2015年9月からミャンマー、ヤンゴン市にて執務中。日本企業に対して、ミャンマー進出支援、知的財産法務、労働法務、金融法務などのアドバイスを提供している。また、2016年4月からは、法務省の委託を受け、ミャンマーにおける日本企業・邦人に対する法的支援のあり方を調査・研究している。
 

極めて意味のある一歩

 外国人によるコンドミニアム・アパートメント所有が可能になったとはいっても、活況ある不動産投資市場形成のためには、まだまだ乗り越えなければならない点が多く残っている。

 外国人が、コンドミニアム法に基づきコンドミニアムを取得しようとする場合、「デューディリジェンス」をする必要があるだろう。すなわち、ディベロッパーのライセンス、コンドミニアムの登録、40%以内の要件などを確認しておかなければならない。この手間が大きければ大きいほど、不動産投資の活性化は望みにくい。その意味で、コンドミニアム法による登録制度がどれだけうまく整備され機能するか、これが一つ重要なポイントと思われる。

 また、法律の基準を満たせるコンドミニアムがどれだけ産み出せるのかについても不透明である。実際、現在存在しているコンドミニアムのうち、新法の基準を満たせるコンドミニアムは、10棟程度という話もある。これは、今後の都市計画と密接な関係があるだろう。

 さらに、現在の住宅価格は、適正な価格水準以上に高騰化している印象がある。その背景には、十分な価格検討を経ぬまま高い価格を設定し、たとえそれにより売れなくても値段を下げたがらない、というオーナーの態度があるようである。こうした態度は、不動産市場の不活性化を招くものである。そのためには、オーナーの心持ちの変化も必要であろう。もっとも、外国人オーナーが現れ、彼らの「適正な」商慣習を持ち込むことで、現地人オーナーの態度にも変化が現れてくるかもしれない。

 その他、厳しい外国送金規制事情もあり、外国人による不動産投資は、まだまだ前途多難に見える。しかし、それでも、外国人によるコンドミニアム所有が可能になったことは、極めて意味のある一歩である。何事においても、無から有を産み出すことは、1を2に変えることよりも何倍も難しい。一度運用が始まれば、状況に合わせて、整備を進めていくことも可能であろう。ミャンマーに駐在し、ミャンマーの発展を祈る一専門家として、今後のミャンマーのますますの発展を祈っている。

  
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