2024年4月19日(金)

メイドインニッポン漫遊録 「ひととき」より

2016年8月27日

南方仁太郎さん(右)から吊り編み機の仕組みを聞く筆者(ちなみに2人が着ているのもループウィラーのスウェットシャツ) 

 工場を案内してくれたのは、東京のループウィラーショップで販売スタッフの経験もある、社長の南方陽(みなみかたあきら)さんの息子の仁太郎(まさたろう)さんだ。

 「ここでお洒落なループウィラーのスウェットシャツの生地が作られていると知って、大抵みなさん驚きます(笑)」

 しかし、工場の引き戸をガタガタと開けて1歩中に入ると、まるで巨大な蓑虫のように天井から吊るされてシャーッシャーッと静かな音をたてながら、ゆっくりゆっくりと生地を編んでいる吊り編み機に圧倒されてしまう。

吊り編み機の針に糸が通り生地が編まれていく。1台1台に個性があるという 

 その数なんと約100台。さらに倉庫にも百台ほどの吊り編み機が、いつでも稼働できるよう整備されて大切に保管されているのだ。

 1台1台、丁寧に針を調整して整備点検もしながら稼働させ、若い職人たちの指導もしているのは、専務の息子さんで工場長の岡谷義正さんだ。その光景を見ていたら、何だか吊り編み機が単なる機械ではなく、まるで愛おしい生き物のように見えてきてしまった。

 じつは筆者もループウィラーのスウェットシャツを愛用しているのだが、本当にふわふわの着心地である。こうして実際に職人の手によって吊り編み機で丁寧に時間と手間をかけて生地が編まれているのを見たら、1着2万円近くもするのに人気があるというのがよおぅくわかった。帰りにうっかり和歌山ラーメンの汁なんかこぼして汚してしまわないよう、くれぐれも注意して大事に着ようっと。

(写真左)専務の岡谷さん行きつけ、喫茶まりのママ・坂口加江子さん
(写真右)安くておいしくてボリューム満点、喫茶まりの中華そば定食950円(税込)! 

(写真・阿部吉泰)

●カネキチ工業
<所在地>和歌山市紀三井寺1469
<URL>http://kanekichi-turi.com

●喫茶まり
<所在地>和歌山市紀三井寺677
            (紀勢本線紀三井寺駅から徒歩約7分)
<連絡先>☎073(445)6344
<営業時間>8時~16時 
<定休日>日曜

  
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◆「ひととき」2016年6月号より

 


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