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2016年6月7日

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エマ・ジョーンズ、エンターテインメント担当記者

ロンドン生まれの女優デイジー・リドリー(24)は、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」で世界的な大スターとなった。次作でまたスクリーンに戻る予定だが、その前に務めたのがアニメ映画「Only Yesterday」の吹き替え声優。スタジオ・ジブリ(本社・東京都)が1991年に公開した名作「おもひでぽろぽろ」の英語版だ。

リドリーと「スラムドッグ$ミリオネア」の主演俳優デブ・パテルが、主人公タエ子と相手役の青年トシオの声をそれぞれ担当した。タエ子とトシオを、パテルは「アニメ界のロイヤルカップル」と呼ぶ。

スタジオ・ジブリは1985年に設立されて以来、宮崎駿監督たちの作品で日本のアニメ界を席巻してきた。米アカデミー賞にも5回ノミネートされ、2001年の「千と千尋の神隠し」、04年の「ハウルの動く城」などは世界にヒットした。

ジブリは2年前、宮崎氏の引退にともない制作活動の休止を発表した。しかし欧米では英国内の劇場に今月お目見えする「思い出のマーニー」、今年のカンヌ国際映画祭で特別賞を受賞した日仏合作の「レッドタートル ある島の物語」、そして「おもひでぽろぽろ」英語版と、このところ3作品の公開が相次いでいる。

「おもひでぽろぽろ」のオリジナル版公開は25年前。自分が生まれる前の年だと言うリドリーは、「日本の文化全般に夢中」だと話す。

「母親に連れられて『ハウルの動く城』と『千と千尋の物語』を観て、むちゃくちゃ感動しました」

「最近その片方を見返して、このどれかをぜひやってみたいと思ったところでした。本当に、そういうタイミングだったんです。ちょうど同じ時期にスタジオ・ジブリが英語版のタエ子を募集していたので、オーディション用にいろいろ録音しました。それがこういう結果になって、もう最高の気分です」

「おもひでぽろぽろ」の舞台は60年代と80年代の日本だ。会社員として多忙な日々を送る20代の女性タエ子が休暇中、農業を体験しに田舎へ行き、そこで農家の若者トシオと出会う。タエ子は姉たちとの子ども時代の思い出と現実との間を行き来するうち、過去の自分が今の自分に「幸せになって」と言っているのではないかと気付く。

一方のリドリーは、タエ子も自分も姉妹と育ったのは一緒だが、生い立ちは対照的だと話す。

「家族の関係は全然違います。私とタエ子には共通点がたくさんあるようでいて、実際には同じところは何もないんです。私と4人の姉たちは完全にものすごく仲が良くて、最高の友達同士です。小さい頃はけんかもしたけど」

リドリーはロンドン北郊ハートフォードシャーの演劇学校で学び、テレビに何度か出演した後、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」のヒロイン、レイ役のオーディションに挑んだ。

「レイについてあれこれ考える前に、ともかくどうしてもやりたくて飛びついた。ただ、これで自分の人生が大きく変わるだろうなというのは、はっきり認識していました」とリドリー。「J.J.エイブラムス監督をはじめ、才能あふれる人たちに囲まれて、すごく幸運です。仕事の場以外では、家族や友人たちが大きな力になってくれるし。こんな風に育ててもらって本当にラッキーです」と話す。

「気持ちの上では、注目を浴びる覚悟は、自分としてはこれ以上できないというくらいできてました。それでもたまに、つらい時はありますよ。とても疲れている時に人が寄ってくると、『ぎりぎり大人になったばかりなんだから、今は無理!』と思うことも。ロンドン出身なので、地下鉄に乗れないのがすごくさびしいし。スター・ウォーズ以来、地下鉄には何度かしか乗ってません。その時は何人かの友だちに囲んでもらって」

レイを演じた後には、女優業のほかに映画製作にも進出した。モンゴルの遊牧民の伝統的な鷹匠の仕事に、女性として初めて挑戦する13歳の少女に密着したドキュメンタリー作品「The Eagle Huntress」の製作総指揮を務めている。

自分が年下の女性たちの手本なのだということを、リドリーは真剣にとらえている。「自分が女だからと何かは無理だって、そう思ったことは自分は一度もありません。でも、そうやって苦しんだ女性たちを知っています」。

「気付かないうちにメッセージが刷り込まれることもあると思う。ソーシャルメディアのせいで、女の子が、男の子も、深刻な自信喪失に襲われてる。自分はだめだ、夢なんか見ても無駄だ、と思い込んでしまってる。どうして学校で、特に女子に、自分で自分を強くすることを教えないんでしょう」

「レイの役がこんなにたくさんの女の子の心に響くなんて、予想もしていませんでした。もちろん私だって自分なりの不安を抱えてるけど、この問題には進んで力を注ぎたいと思っています」

スター・ウォーズ・シリーズの次作、エピソード8について、リドリーはいっさい語らない。しかし「2度目の方がずっと撮影を楽しめるし、周りがよく見えるようになった」と話す。

リドリーはさらに、シェイクスピアの「ハムレット」をベースにした映画「オフィーリア」の主役として、ナオミ・ワッツとの共演が発表されている。

「なんでもやってみたい」とリドリーは言う。

「もともとスター・ウォーズに出ようと思ってたわけじゃないけど、おかげで素晴らしい経験をしてます。最近は脚本を読みながら、合うか合わないかが少しずつ分かるようになってきた。それでぴんときたのが、『おもひでぽろぽろ』です。これは私がやらなくちゃ、という感覚がすごかった。今の自分の選択基準は、語られるべき物語を語ることです」

「Only Yesterday(おもひでぽろぽろ)」は英国で6月3日、「When Marnie Was There(思い出のマーニー)」は10日に公開。

(英語記事 Daisy Ridley voices Japanese 'obsession')

提供元:http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-36466390

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