世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年6月17日

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 米ワシントン・ポスト紙のジャクソン・ディール論説副編集長が、5月15日付の同紙に、「オバマの最小限の中東政策」という論説を書き、サイクス・ピコ協定で作られた地域秩序は失敗し、それに代わる秩序を作る必要があるが、オバマはそれをやる気はない、と論じています。論説の要旨は、次の通りです。

サイコス・ピコ協定の100周年

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 5月16日はサイコス・ピコ協定の100周年であった。英国のマーク・サイクスとフランスのジョージ・ピコが、オットマン帝国の分割についての秘密協定を結び、それがイラク、シリア、ヨルダン、レバノンの誕生となり、今の中東の血なまぐさい混沌につながった。

 将来、スンニ派、シーア派、クルドを一緒にまとめたイラクとシリアは、現在の国境のまま集権的な国として維持されるべきか。レバノンはどうすべきなのか。

 一つの意見は、イラク、シリアは国民国家として保持されるべきで、国境を新たに引くことはもっと問題を生み出すという。もう一つの意見は、イラク、シリアは単一国家として存続しえないだろうという。イラクのクルド地域の指導部は独立を目指している。ISは、シリアとイラクの国境を消すことを目的にしている。

 アラブの指導者の何人かは、西側はこの議論に介入するなと言うが、他の人は外国による介入があってこそ中東は安定するという。

 オバマ政権は「外側にいる」ことに徹しようとしている。利益を狭く定義し、これに焦点を当てている。イラクの中央政府、アバディ首相を支持し、モスル奪還に熱意を示している。

 来年にも、モスルもラッカも奪還し、ISを敗北させられるかもしれないが、その後どういう政治構造ができるのか、コンセンサスはない。イラクとシリアが現在の形で残るという人は少なく、緩やかな連邦になるだろう。しかしオバマは新しい政治構造を作る気はなく、サイクス・ピコ協定に代わる政治構造が出てくるのには1年以上かかるだろう。

出 典:Jackson Diehl‘Obama’s minimalist Mideast muddle’(Washington Post, May 15, 2016) https://www.washingtonpost.com/opinions/obamas-minimalist-mideast-muddle/2016/05/15/4f8e5a8e-1861-11e6-924d-838753295f9a_story.html

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