世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年6月17日

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 今年はサイクス・ピコ協定締結100周年にあたります。オスマン・トルコ帝国が解体した後に国境を引いて、イラク、シリア、レバノン、ヨルダンという国家ができました。

 上記の論説は、サイクス・ピコ協定100周年に際し、色々な人が意見を表明していることを紹介したに過ぎません。

 しかし、この協定が中東地域の不安定の根本原因であると言う説は強く、かつ説得力があります。ボストン大学のフロムキン教授は“A peace to end all peaces”(第一次大戦中のスローガン:A war to end all warsをもじったもの)という本を書いて、そのことを強く主張しています。

 ヨルダンはともかく、イラクもシリアもレバノンも、今は国家の体をなしていない状況にあります。

人為的に作られた秩序も100年も経つと
それなりの命、慣性を持つ

 サイクス・ピコ協定で出来た地域秩序を変える時期が来ていると言う意見は強いです。しかし、新たな秩序をどういうものにするのかは大難問です。国境を新たに引いて今の国家に代わる国家を作ってもうまくいかないでしょうし、新秩序を地域に押し付けるパワーもないように思われます。結局のところ、今の地域秩序をベースに、かつての単一国家シリアやイラクを緩やかな連邦制または国家連合にしていき、諸宗派、諸民族の要望をできるだけ満足させていくしかないように思われます。地域秩序の革命的変更ではなく、漸進的変化、徐々に変化していくよりほかないのではないかと思われます。人為的に作られた秩序も100年も経つと、それなりの命、慣性を持つことになります。

  
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