前向きに読み解く経済の裏側

2016年8月8日

»著者プロフィール
閉じる

塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

マスコミは悲観的な情報を流したがる

 ただでさえ悲観的な情報が流れてくる中で、マスコミが悲観的な情報を流したがるので、楽観的な情報はマスコミから流れて来にくいのです。

 マスコミが悲観的な情報を流したがる主因は、情報の受け手が悲観的な情報を欲しているからです。なぜか日本人は「大丈夫です」という話よりも「心配です」という話を好むのです。

 なかでも、日本人は「大変なことが起きる」という「トンデモ話」が大好きです。「富士山が大爆発する」「日本政府が破綻する」といった話は、筆者としては想像力を掻き立てられますし、SF小説を読むのも楽しいのですが、予測として聞いて楽しいとは思われません。しかし、好きな人が多いのですから、仕方ありません。

 情報を提供する側も、そうした要請に応えるのは比較的簡単です。「平和な国は一様に平和であるが、不幸な国はそれぞれに不幸である」ので、不幸なシナリオはいくらでも書けるわけです。

 加えて、「他人の不幸は蜜の味」という面もあるのかも知れません。可哀想な人、困っている人の報道は、情報の受け手を安心させる効果があるのかもしれません。いずれにしても、そうした情報を欲している人が多ければ、情報を流す方もそうした情報を流すようになるわけです。

 今ひとつ、マスコミには「権力に抵抗するのがマスコミの使命だ」と思っている人も少なくないようです。そうした人は、どうしても政権に都合の悪いニュースを流すインセンティブを持ちがちでしょうから、悲観的なニュースが多くなる、といったことがあるのかも知れません。

 それから、マスコミは珍しいことを報道するのが使命です。何も起きない平和な日常は報道せず、事故や事件を重点的に報道します。したがって、ぼんやりとニュースを見ていると日本中で事故や事件が起きているような錯覚に捕われますが、実際には事故や事件で死亡する人は非常に少ないわけです。

関連記事

新着記事

»もっと見る