前向きに読み解く経済の裏側

2016年6月27日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 調査対象の属性という観点からは、世論調査なども問題になり得ます。インターネットを用いた調査だと、調査のコストは安上がりですが、若者の声ばかり反映されて高齢者の声が反映されにくい、という問題が生じるでしょう。

 「電話番号を無作為に抽出して電話をかけて支持政党を聞く」という手法は問題が無いようにも見えますが、これも気をつけないと問題が生じます。たとえば平日の日中に電話をした場合、ビジネスマンは自宅にいないので、高齢者や専業主婦が主に回答することになります。そうなると、たとえば景気回復に力点を置いてビジネスマンに支持される政党は、福祉や介護に熱心で高齢者に支持される政党よりも不利になりかねません。

 どのように統計が作られ、調査が行なわれているのか、知らないと結果を読み間違える可能性があるのです。

グラフに要注意

 統計を使って嘘をつこうと考えたら、一番手軽なのはグラフを使うことかも知れません。図1は、A社とB社の売上高の推移です。A社が停滞している間にB社は躍進しているように見えますね。学生向けの就職説明会でB社の人事部がこのグラフを使うと、効果は大きいかも知れません。しかし、よく見ると、両者ともに売上高が100から101に1%増えただけなのです。軸の目盛がゼロから始まっているか否かで、グラフの印象は大きく異なるのです。

図1

 わざわざ工夫しなくても、自然体のグラフでも相手の誤解を誘うことが出来る場合もあります。図2では、C社に比べてD社の売上げが急増しているように見えます。しかし実際には、C社の売上げは2倍、D社の売上げは1.9倍になっていますから、躍進しているのはC社の方なのです。

図2

 

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