2024年4月25日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年6月24日

 5月19-20日にロシアが開催したロシア・ASEAN首脳会議は、ロシアの対ASEAN外交を強化しようとする試みですが、この論説は、諸事情からあまり大きな成果は出てこないだろう、と述べています。その通りでしょう。

 日本としては、ロシア・ASEAN関係が緊密化し、東南アジア情勢に対するロシアの影響が増大することを心配する必要はないと思われます。ロシアは輸出においては、主としてエネルギー資源と武器において競争力を持っていますが、エネルギーはともかく、武器輸出は政治的に機微なところがあります。今後もベトナムがロシア製武器輸出の中心になるでしょうが、これを進めるにあたっては、中越関係にかんがみ、対中考慮をせざるを得ないと思われます。中国が問題視する武器輸出はそう簡単にはできないでしょう。

経済が弱点

 この論説が言うように、ロシアの東アジア外交は中国との良好な関係を重視して展開されていかざるを得ません。伝統的にロシアには、対中不信感、警戒心がありますが、中露間の力の差がここまで明確になると、ロシアとしても、そういう感情は抑制していかざるを得ないでしょう。

 ノスタルジーもあって、ロシアは今なおグローバル・パワーとしての地位を追求していますが、経済力の弱さがそれを不可能にしています。あるいは、これから不可能にして行くと思われます。
  
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