2024年4月20日(土)

古希バックパッカー海外放浪記

2016年7月31日

キャンプ場のオーナーが飼っているピレネー犬

 村の小さなスーパーでワイン、野菜、ソーセージ、パスタ、スープの素などの食材を買い込む。午後2時頃にテラスのテーブルにキッチンで作ったスパゲティとスープを並べて白ワインを飲みながら優雅にランチ。

 ル・ピュイからピレネー山脈にいたる巡礼道はところどころで古代ローマの軍道と交錯しており、古代ローマの石橋(Ancient Roman Bridge)も数か所あった。2千年前のローマの歩兵もたまの休日にはこうして疲れを癒したのであろう。

ザックの重さに遂にギブ・アップ

路傍の十字架、巡礼者が祈祷して小石を積んでゆく

 5月10日 この日は次の巡礼宿のあるフィジャック(Figeac)まで山越えの難所を25km歩かねばならない。ここまでの三週間では比較的平坦な道を一日19km歩いたのが最長記録である。朝からの小雨の中を深い草叢をかき分けて丘を登り、さらに標高1500mくらいの岩だらけの峠を越えてかなり急な坂を雨水に滑りながら下る。登山用のストックは一本しかなかったので、途中で拾った枝を杖にして両手で体重を支えながら急坂を下る。膝に負荷がかかるだけでなく肩や二の腕が痺れてくる。

Vaiareへ向かう途中の林道。両脇の苔むした石垣が歴史を感じさせる。人影もなく標識もなく道に迷う

 やっとのことで雨上がりのフィジャックの町に到着するが日曜日なので店は閉まっており食料の補充ができない。町は閑散として人影がない。目指す巡礼宿の住所が曖昧で小一時間迷った挙句に古ぼけた宿に到着。しかし管理人は不在。薄暗い入口で目を凝らすと「管理人が不在の時は自分で空いているベッドを探せ。料金は翌日朝管理人に払うこと」と書いてある。注意書きに従って空いている二段ベッドの下の段を確保。ザックから残っていたパンとチーズを取り出し簡単に夕食。宿には先客が1人だけで毛布にくるまって寝ていた。

 5月11日 朝起きると全身筋肉疲労で歩く気がしない。一人だけいるドイツ人の巡礼者はだるそうに起き上がり「膝を痛めてしまったので巡礼を断念して今日ドイツに帰る」と残念そうに言った。この先1300kmを歩き続けるためには荷物を軽くするしかない。歩き始めて2日目には雨傘、スリッパ、シャンプー、予備の下着、Tシャツ、石鹸などを捨てたが、それでも食料・水を加えると12kg近い。


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