WEDGE REPORT

2016年6月26日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 6月15、16の両日、ロサンゼルスでIDEASというコンベンションが開かれた。主催はイスラエルのテルアビブ大学で、学生の起業率、技術力では世界でも有数の同大学の研究チーム、地元ロサンゼルスやカリフォルニアの起業家などが集まり、新しいアイデアについてのパネルディスカッション、意見交換などが行われた。

 その中で注目を集めたのがバーチャル・リアリティ(VR)と拡張現実(AR)の市場の拡大、商業利用の可能性についてだ。

VR、ARの市場規模は15兆円

マジック・リープのレインハート氏

 VRは現在映画、ゲームなど主にエンタテイメントの分野で注目される。しかしVRとARの今後についてのパネルディスカッションを行ったニューアムステルダム・メディアのセス・シャピロ氏、マジック・リープのベンジャミン・レインハート氏、バロンVRのキャスパー・ボン・ウィンターフィールド氏の3人はこの新しい技術の壮大な可能性について議論した。

 シャピロ氏によると、2015年の米テレビ業界の総収入は1100億ドルだが、VR、ARの市場規模は2020年には1500億ドルに成長する可能性がある、という。

 今年はオキュラスやサムスンのVR用ヘッドセットの販売、プレイステーションなどのゲームがVRを導入することから、VR元年とも言われる。フェイスブックがオキュラスに対し20億ドルの投資を行ったこともニュースとなった。

 しかしシャピロ氏はVRやARが発展を見込める分野として

1、ヘルスケア
2、不動産
3、職業訓練・教育
4、旅行
5、軍事
6、ジャーナリズム

 を挙げる。特にヘルスケアでは、例えば困難な手術への準備としてVRで医師が実際に近い手術の訓練を行う、患部を3D映像で捉えて治療法を考える、などの可能性が指摘された。

 ウィンターフィールド氏はVR、ARとは基本的に「情報を経験に変える技術」だと強調する。これは不動産、旅行などに特に当てはまる。これから建築する家をVRによって実際に足を踏み入れ、細部などを確認する、あるいは旅行の案内をARによって詳細に行う、などが考えられる。

 ここでVR、ARという言葉の定義を整理する。VRとは現実世界から隔離された、ヘッドセットなどの中に繰り広げられるデジタル世界で、ARとは現実と仮想のデジタルとが同時に視界にある状態を指す。また、仮想現実には没入型と包囲型があり、没入型とはユーザーが目の前に繰り広げられる世界をあたかも現実のように捉えるよう脳に働きかけるもの、包囲型は没入型ほどの現実味はないが、ARにおいては現実と仮想が並行状態に出現するため、むしろこちらが望ましいケースが多い。

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