世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年7月1日

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 米国はすでに、6隻のDefiant75哨戒艇のベトナム沿岸警備隊への供与を含む海洋安全保障に関する武器売却を認めている。ベトナムは、先進的な武器の対露依存を低下させ、米国との軍事関係を緊密化させることを望んでいる。ストックホルム国際平和研究所によれば、ベトナムは2011~2015年に、世界で43位から8位の武器輸入国になった。ベトナムは、日本、イスラエル、シンガポール、インドとの安全保障関係を強化してきた。2009年には、ロシアから6隻のキロ級攻撃型潜水艦とSu-30戦闘機を購入した。

 今ベトナムは、空軍のさらなる強化を求め、ロシアのSu-35戦闘機の購入を検討している。しかし米国がF-16の改良版のような先進的な戦闘機を提供すれば、両国の将来の安保協力を強化することになろう。Black HawkヘリとP-8哨戒機も可能性がある。

人権擁護にも配慮

 人権擁護派は、ベトナムが国内の反体制派への抑圧を続けていると非難している。ベトナム政府は5月20日、重要な政治犯であるカトリック司祭のNguyen Van Lyを釈放した。しかし、ベトナムは多くの平和的批判者を監禁し続けている。

 武器禁輸解除は、人権についての米国の梃子を強化しなければならない。武器売却は人権も考慮しつつ、ケースバイケースで決定される、と米高官は指摘している。

 中国の圧力はまた、ベトナムが民主国家からの投資に広く開放する刺激となってきた。韓国と日本が二大投資国である。ベトナムのTPPへの参加決定は、より多くの海外企業がベトナムに展開するよう促した。それによる急速な成長は、政治的変化の触媒となり得る。

 我々は、オバマのアジアへのリバランスを中身がないとして非難してきたが、ベトナムとの外交、経済、安保上の関係強化は、前進である。

出典:‘America’s Vietnam Pivot’(Wall Street Journal, May 23, 2016)
http://www.wsj.com/articles/americas-vietnam-pivot-1464044978

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