ペコペコ・サラリーマン哲学

2009年12月31日

»著者プロフィール

 本年(2009年)2月27日に始めさせていただいた「金児昭のペコペコ哲学」は、今回で21回目となります。第15回目からの副題は「同窓会からみた亀井静香氏」としています。

 当初はシリーズになるとは思っていませんでしたが、亀井静香郵政・金融担当大臣の注目度の高さでしょうか、読者の方から寄せられる反響の大きさにここまで続けてきています。

 全21回のなかで、読者の皆様(私の周りの人を含みます)から、とくに「心から感動した」と感想が寄せられたのが、亀井君が尊敬し常に気にしていた渡辺蔚(わたなべ・しげる)君の話です。

 参考:高校同窓生からみた亀井静香氏(その3) 絆―渡辺蔚君の好きな言葉・きずな

 野球場での突然の事故で片目の視力を失った経験から、目の見えない方々のために尽くし続けた人道主義と、仕事では利益をとことん追求する自由・資本主義とを、一体のなかに有するところが、あらゆる方々の共感を呼んだのです。

 この連載を担当している編集者のO君が、こんな話をしてくれました。

 O君は、12月6日、神奈川県秦野市で開催された、はだの丹沢水無川マラソン大会に参加しました。O君にとって、3回目のハーフマラソンでしたが、それまでの2回は完走することができず、15キロ地点を過ぎたあとは、足を引きずり引きずり、なんとか歩いてゴールにたどりつく状態だったそうです。

 「その日も、もっとも辛い15キロ地点手前で、一番イヤな、ダラダラ続くのぼり坂が現れました。何度も何度も、走るのをやめて歩こうかと迷いました」とO君は言います。

 そんなタイミングでふっと現れたのが、目の見えないランナーと伴走者の女性ペアだったそうです。「あ、これが金児さんの書いてた、渡辺蔚さんの『盲人マラソン』だ」そう思ったO君は、その近くに寄って耳をすませました。

 「もうちょっとのぼりが続くよ。さあがんばって、がんばって」そう語りかける伴走者の声に、「俺は、なんでこれくらいの辛さで、走るのをやめようなんて考えたのか」と反省したO君は、思いもよらない力がわいてきて、その坂をのぼりきることができたそうです。

 坂を上りきるとそこは、川と山と空が一挙にパノラマのように広がる、コース一番の名所でした。O君がその景色に疲れを癒していると、聞こえてきたのはあの伴走者の声でした。

 「ものすごくきれいな青い空よ! あなたに見せてあげたいわぁ。でも、あなた見えないのよね。本当に残念だわ」

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る