人事は企業を変えられる

2016年7月4日

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寺川尚人 (てらかわ・なおと)

Indigo Blue社長、テラマネジメントデザイン社長。1982年ソニー入社。人事VP、人事部門長など、人事業務に従事しながら、多種多様な新規事業の立ち上げと数十の業態の取締役等の経営経験を持つ。

 「買収したが、期待通りの成果を出せない」という相談を経営者からよく受ける。

 彼らの悩みの原因は、買収以降も残って欲しい人材に、その理由をしっかりと伝えきれていないことにある。

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 買収といえば、かつては事業規模の拡大やマーケットシェアの増加を狙って行われることが多かった。今は自社に不足する技術や事業領域を補い、従来できなかったことを可能にするために行うことが増えた。言うまでもなく、技術を持つのは会社ではなく、そこで働く人材だ。

 しかし、買収の際に行うデューデリジェンス(DD)のチームには人事が得てして入っていない。人事が買収ですべき仕事は、優秀な人材をいかにつなぎとめるかにある。DDに加わっていなければ誰が技術や事業管理のキーマンかを判断して、誰をつなぎとめるべきかを事前にリストアップしておくことすらできない。

 例えば、買収される会社が各事業のプレゼンターに誰を起用しているか、その人材の能力はどの程度かを人事が直接見て、経営トップと共にその作業を進めるべきだ。

 買収の効果を上げるには、買収後すかさず双方の文化統合を図り、両社間に信頼関係を築くことが重要である。

 人事が社員に対して心理的アプローチをどれだけ丁寧にやるかで買収の成否が決まってくる。別の育ち方をしてきた会社は、買収されたからといって簡単に変わることはない。両社にとって譲れるものと譲れないものを見極めて、お互いの良き部分を社内に導入する懐の深さも、信頼関係を醸成する一助になる。

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