BBC News

2016年7月4日

米大統領選の民主党候補になる見通しのヒラリー・クリントン氏が、国務長官時代の私用メール・サーバー使用について連邦捜査局(FBI)から任意で事情聴取を受けた。選挙対策本部の報道担当者が2日、明らかにした。

FBIは、クリントン氏が国務長官として機密情報を私用メール・サーバーで取り扱ったかを調べている。

クリントン氏は、私用サーバーを設置したのは複数の携帯電話やタブレットを使い分けるよりも、ブラックベリー端末1台に集約した方が便利だったからだと説明。私用メールで機密情報は扱っていないと主張している。

一方で、国務省監察総監室の内部調査は、クリントン氏を含む複数の歴代長官によるメール管理がおろそかだったと批判した。

司法省は現在、こうしたメールの取り扱いが刑事事件にあたるか調べている。

リンチ司法長官は1日、クリントン氏を訴追するかどうかは、FBIや検察官の捜査結果をもとに判断すると発言。長官はその前日に、クリントン氏の夫、ビル・クリントン元大統領と会っていたことが明らかになっていた。長官は「社交として」会ったと説明しているが、捜査における自分の役割について疑念を抱かせることになると認めていた。

大統領候補を指名する民主党全国大会は今月25~28日、フィラデルフィアで開かれる。

<クリントン氏メール疑惑とは> アンソニー・ザーチャー北米担当記者

2009年に国務長官として宣誓就任する直前、クリントン氏は自宅にメールサーバーを設置した。長官在任中の4年間、クリントン氏の電子通信はすべてこのサーバーを経由した。

・なぜ問題なのか

その行為は、おそらく違法ではなかった。

しかしクリントン氏はこれによって、自分の通信内容をすべて自分で管理し、どの情報を政府に提供するかしないか、どの情報は情報公開法にもとづき公表するか、あるいは関係者に提供するか、ひとりですべて独断することができたと批判されている。たとえば、クリントン氏が国務長官時代の2012年にリビア東部のベンガジで米領事館が襲撃され大使を含む4人が殺害された事件について、議会調査委員会にどの情報を提供するかも、クリントン氏自身が決めることができたというのだ。

さらに、私用サーバーを使ったことでハッキング被害に遭う危険性が高まったという懸念も指摘されている。

・ほかの政治家は?

確かに、公務に私用メール・アドレスを使った政治家は、ほかにも大勢いる。

しかしほかの政治家と異なり、クリントン氏は非常に多岐にわたり私用アドレスを使っていたのだ。

<分析>ローラ・ビッカー、BBCニュース、ワシントン

はっきり言って、大統領選の開幕にふさわしい展開とはとても言えない。

規格外で毀誉褒貶(きよほうへん)の多いドナルド・トランプ氏と戦っていくにあたり、ヒラリー・クリントン氏は自分こそ大統領になるにふさわしい、分別と経験の豊かな候補だと有権者に訴えかけている。

3時間半にわたりFBIに事情聴取されるなど、決してその言い分の助けにならない。

彼女は信用できないと、共和党関係者に攻撃材料を与えてしまった。トランプ氏はすでに「crooked Hillary(悪党ヒラリー)」というあだ名をつけて、各地の遊説先で嬉々として繰り返している。

FBIがいつクリントン氏を事情聴取するのか長く注目されていただけに、このタイミングで行ったというのも興味深い。今週末の米国は、独立記念日を祝うパレードやバーベキューといった行事で大わらわだ。有権者はテレビ・ニュースにかじりつくよりも、お祝いの花火に気をとられていてほしいと、クリントン陣営は期待しているに違いない。

ヒラリー・クリントン氏は数週間後には、民主党全国大会の壇上に立ち、党の候補に正式指名される。そしてFBIはこの間に、正式に訴追するかどうかを決める。法曹関係者たちは、訴追はまずありえないと言う。そうだとすれば、クリントン氏自身はいずれこの疑惑を過去のものにできるだろう。

しかし居並ぶ政敵は、いつになっても、決してなかったことにはしないはずだ。

(英語記事 Hillary Clinton questioned by FBI on emails)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/36700692

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