WEDGE REPORT

メディアが伝えぬ日本捕鯨の内幕
税を投じて友人をなくす

谷口智彦 (たにぐち・ともひこ)  慶應義塾大学大学院SDM研究科特別招聘教授

明治大学国際日本学部客員教授。2008年7月まで3年間外務省で外務副報道官。元日経ビジネス記者、編集委員、ロンドン外国プレス協会会長。著書に『同盟が消える日』(編訳、ウェッジ)など。(2013年1月末日現在)

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

»最新記事一覧へ

 とすると、経済的に多くを意味せず、実現可能性においてゼロの主張を無理にも続けるうち、英豪加米といった同盟ないし準同盟国の大衆を少なからず敵に回し、風前の灯とさえいえる国内零細捕鯨業者を苦境に置き続ける事実は変わらない。

 それでも税金や公的資金を投じ、勝ち目のない戦いを挑んで日本の評判を下げることを、筆者は国益のバランス感覚を欠く状態と考える。

 解決策は調査捕鯨をやめ、引き換えに、日本近海に出没するミンキー鯨を沿岸業者にも捕れるようはからうことだ。需給が締まるうえに利幅の見込める鯨種を手がけられ、初めて零細業者に存続の道が出る。結果として、「珍味」とともに風土的捕鯨文化の保全を図れる。

 鯨研周辺科学者たちには調査継続に対する熱情があるだろうから、これは国費で存続の道を探る。ただし非致死的調査が主になるのはやむを得ない。それが世界の標準だから、特段日本を不利にする話でもない。

 我が国が調査捕鯨をやめるなら、それは日本の広義国益にかなう。のみならず、捕鯨文化の保全にも資すと筆者は考えるが、以上は私見であって筆者が過去に属したか、現在属す組織のいかなる見解を代弁するものでもない。また援用した数字や事実は、すべて公開情報に拠った。

 

「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
週に一度、「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。

previous page
5
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
「WEDGE REPORT」

著者

谷口智彦(たにぐち・ともひこ)

慶應義塾大学大学院SDM研究科特別招聘教授

明治大学国際日本学部客員教授。2008年7月まで3年間外務省で外務副報道官。元日経ビジネス記者、編集委員、ロンドン外国プレス協会会長。著書に『同盟が消える日』(編訳、ウェッジ)など。(2013年1月末日現在)

WEDGE Infinity S
ウェッジからのご案内

Wedge、ひととき、書籍のご案内はこちらからどうぞ。

  • WEDGE
  • ひととき
  • ウェッジの書籍