世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年7月12日

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 この社説は、EUがポーランドの現政権が法の支配をゆがめるような政策を実施していることを批判したことをうけて、ポーランドはEUの批判を十分に考慮するように求めたものです。

右派の勝利から変化

 ポーランドでは、これまでリベラル色の強い「市民プラットフォーム」が主導する政権が政治を担ってきましたが、昨秋の選挙で右派の民族主義的な「法と正義」党が選挙に勝ち、政治の方向性が変わってきています。西側との協調を重視するよりも、難民引き受けに消極的なことに見られるように、国益をより重視するようになってきています。憲法裁判所の構成を変えて権限を縮小するのは、民主体制の装置の一つである三権分立よりも、政治の効率を重視しているということでしょう。ハンガリーでも今のオルバン政権は同じような傾向を示しています。

 このような政治のジグザクは避けられないことであり、西欧でも極右政党が勢力を伸ばしている状況と軌を一にするものと考えられます。ただ、東欧諸国の場合、民主主義的伝統は強くなく、ファシズム的な手法に対する拒絶度は弱いと思われます。共産主義統治と右翼的主張は政治のあり方のスペクタクルの上で両極端にあるように思われていますが、これは必ずしもそうではありません。ネオ・ナチには東ドイツ出身者が多いと言う指摘もあります。

 ポーランドは、ロシアという脅威に対処する必要があり、EU及びNATOのメンバーであることに大きな利益を見出しています。したがって、長期的には欧州の価値観に収斂していくと考えられます。

 ギリシャの経済危機、英国のEU離脱、難民危機などと比較すれば、これはユーロ、EUの存亡にかかわるような大問題ではないでしょう。

  
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